8月28日のブログで、【組織のイノベーション・スキル底上げに向けた「R&Dテーマブラッシュアップ・ワークショップ」の勧め】という記事を書きましたが、このコンセプトに近いセッションを昨日行ってきました。 もう6年目になりますが、2005年から東レ経営研究所の「MOT(技術経営)プログラム」の中の「論理的思考と意思決定」という講座を受け持っています。今年からは、講義のセッションから3カ月ほどしてから、フォローセッションというのを実施しており、昨日がこのセッションだったのです。 事前に参加者18人から、それぞれのR&D/技術開発/新規事業がらみのテーマを出しておいてもらい、まず午前中に全員のテーマにつき、一人5~10分間の予定で各自からの説明と質疑応答を行いました。 このやり取りは、大きく言って二つの視点で行います。一つは、そのテーマを午後のグループワークで取り上げるとしたら、どのような着眼点やアプローチでグループワークをしたらよいかを明らかにすることです。もうひとつは、午後のグループワークで取り上げるにふさわしいかどうかを判断するための材料を得ることです。 午後のグループワークでは4グループでそれぞれ一つのテーマを選んで行うため、取り上げられないテーマが計14出るわけで、それらについても、せっかくテーマを持ってきた人が、多少でも解決のヒントを持って帰れるようにと思い、そのためついつい私からの助言が多くなり、「午前セッション」が終わったのは、結局お昼をだいぶ過ぎてからでした。 その後、短い昼食をはさんでグループワークに取り組み、以下の基本的ディスカッションの流れを参考に、各テーマに応じたやり方を各グループが”It’s up to us!”精神で工夫し作業を行いました。 グループワークの大筋の流れ:背景の共有化⇒ビジョンステートメント⇒事業構想の明確化(技術的成功の定義とハードル/テクカルパフォーマンス、ビジネスモデル、顧客へのValue Proposition、競合優位性とその持続性、新規性/革新性)⇒事業構想についてのフォースフィールド・ダイアグラム⇒ディシジョンヒエラルキー⇒ストラテジーテーブル⇒ディシジョンツリー⇒インフルエンスダイアグラム⇒次のステップ(今後の進め方に関する方針) 今回のグループワークでは、時間の関係もあり、また様々な業界・企業からの参加者での混成チームでの取り組みのため、取り上げたテーマについての今後の進め方に関する概括的なヒントを得ることを主目的に、「金塊」的な良いヒントが得られれば良しというスタンスで、あまり細かい点にはこだわらずに進めてもらいました。。。なお、当然のことですが、テーマの秘匿性から、具体的な情報はぼやかした形で、しかしながら課題の本質はできるだけ共有する工夫をしつつ、グループワークを進めました。 全体時間の制約から、グループワーク自体の時間は約3時間、シェアリングの発表とディスカッションも1.5時間程度と、限られた時間でしたが、とても充実したセッションとなりました。 二つのグループでは、現在悩んでいるポイントが比較的明確だったため、3つ~4つの選択肢をディシジョンツリーを使ってラフに定量的に比較し、およその方向性を見出すところまで行くことができました。。。もちろん、この後、テーマ・オーナーの人が持ち帰って、自社内できちんとした検討をすることになります。 3番目のグループは、取り上げたテーマが、中核となる技術を活用する新たな活用シーンのアイデアを出すことから始まったため、最初の2テーマとは違うタイプのアウトプットになりましたが、他企業・他業界の人達から、新たな視点・発想でのアイデアを得ることができました。 4番目のテーマでは、新たな技術を活用した「わくわくドキドキする」事業構想からスタートし、その実現に向けて、ビジョンステートメント、ビジネスモデル、フォースフィールド・ダイアグラム、ディシジョンヒエラルキー、ストラテジーテーブル、ディシジョンツリー作りに取り組み、次のステップをどう進めるかについての方針のリストアップまで行うことができました。 とりわけこのグループの場合は、テーマ・オーナーが、事前にこれらに関するたたき台を自ら作ってセッションに臨み、それらをブラッシュアップする形でグループワークを進めたため、たいへん生産性の高い検討作業になりました。 4テーマ、それぞれに特徴が異なり、互いに大いに参考になるテーマを臨場感を持って実感できたことから、フォローセッションの目的は十分に達成できたのではないかと感じました。また、その後の受講生の人たちとのやり取りでもその感触を得ることができました。 昨日のセッションが、2010年上期のMOTプログラムの最終セッションとなっていたため、その後、修了式、懇親会という流れとなり、私も2次会まで参加して、昼・夜ともに大変充実した&楽しい一日となりました。 以上が昨日のセッションの振り返りですが、あらためて先日のブログで提唱した「R&Dテーマブラッシュアップ・ワークショップ」の有効性が確認できた感を持っています。。。なお、昨日のセッションで取り上げたテーマを振り返ると、「R&Dテーマ」と限定せず、「イノベーション・テーマ ブラッシュアップ・ワークショップ」とした方がいいように思います。 昨日のセッションは、プログラム全体の構成上、時間がかなり限定されざるをえませんでしたが、自社内で行う場合には、もう少し時間に余裕を持って、たとえば何回かのシリーズでのワークショップ開催、という設計にすればよいと思います。 昨日感じた、「イノベーション・テーマ ブラッシュアップ・ワークショップ」の有効性からすると、イノベーションで自社の未来を積極的に切り開こうとする企業には、ぜひディシジョンマネジメントを活用した、このスタイルのワークショップで、経営資源配分の意思決定の質の格段の向上、その面での組織&個人スキルの向上、そして企業業績の継続的&飛躍的向上を目指してもらいたいものと、改めて強く感じた次第です。
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