日本生命を経て50代後半でライフネット生命を立ち上げた 出口治明氏の、「日本の競争力」という講演録を読みました。私が日頃もやもやと感じていることをズバッと発言されており、胸のつかえがおりた感じを持ちました。以下に、印象に残ったフレーズを列挙してみます。 **************************************** 〇・・・・・自分の頭で考える習慣を失った日本人 さらに不幸なことには、「頭を使わなくても一所懸命働けば所得が倍増する」という社会が戦後五〇年近くも続いたため、日本人は考えなくなりました。 〇・・・・・評論家の中にも「政府が成長戦略を立てないことが悪い」という人もいますが、商売経験のない官僚に「成長戦略を作れ」と頼む商売人はそもそもあり得ないのではないでしょうか。このように自分の頭で考え判断して行動する習慣がまるでなく、困った時は政府や日銀に頼むという精神構造こそ、今日の不況の根本原因でしょう。 〇・・・・・「政府は税金の分配を行う場所。付加価値を生み出すためには、我々がイニシアチブを発揮するしかない。これは世界共通の原理原則だ」と民間の自覚を促したいたいのです。 〇・・・・・「長生きしそうなのに、将来の医療や年金は不安だらけだ。これからは極力貯蓄しよう」「今日の飲み屋は一人五千円で飲み放題だけど、次回は三千円の店を探そう」・・・・・貯蓄の大半を保有する高齢者が消費を控える限り、景気が良くなるはずがありません。消費を上向かせるためには、高齢者に「政府は消費税を年金・医療の目的税にすると言明し税率を上げたのだから、我々の年金と医療は大丈夫だ。ならば次回の飲み会は一人八千円の店にしよう」と思わせなければならないのです。・・・・・日本では「景気が悪い時に消費税を上げたら大変なことになる」というエコノミストが大勢います。また、それを煽るメディアがいて、憤りを感じています。将来への不安がある限り、消費意欲は上向かず、景気も回復しないからです。増税して将来の不安をなくすことで、消費意欲を上向かせることができるのではないでしょうか 〇・・・・・個人の競争力から考えてみましょう。例えば、英語力をアジア三〇ヶ国で比較した「国別TOEFUL平均点数」を見ると、日本は120点満点中70点弱で、下から四番目です。多くの人はこの結果を見て、「学生がハングリーではない」「教育がなっていない」と言います。しかし私は企業の責任であると思っています。例えば、日本経団連がただ一言、「トップのシンガポールの点数である100点が取れない学生は採用しない」と言い切れば、一年後には日本の英語力は格段に上がっているでしょう。 〇・・・・・もう一つは、青田買いをやめることです。・・・・・これも経済界のリーダーが、「成績証明書を持ってこなければ採用面談に応じない」と言えば済む話です。 〇・・・・・悲観的な話ばかりしましたが、日本には山ほど希望があると思っています。IMFや世界銀行が言う通り、「日本は何の心配もない。メディアが真実を報道し、政治家が勇気を持って増税・構造改革に踏み切れば、日本は再生する」でしょう。 〇・・・・・少子化についても私は全く心配していません。フランス・・・・・を真似て、「子供を持つことによって新たな経済的負担が生じないようにする」「無料の保育所を完備する」「三年後に女性が職場復帰する時は、その三年間、ずっと勤務していたものと見なし、企業は受け入れなければならない」というルールさえ作れば出生率はフランスのように回復すると思います。これらを実現した後は、上昇するだけです。 〇・・・・・国際競争力は二十七位まで落ちましたが、本当に自分で考えて行動に移せば、日本の未来は明るいと思います。 **************************************** 以上、ほぼ全面的に同感です。要は「自らの頭できちんと考え、真っ当なことをまっとうに、スピード感を持って行うこと」ですよね。 最近、大阪市の橋本市長の人気が高いですが、その要因はつまるところ; 基本的に橋本さんが言っていることの大半は、【様々な分野の既得権益を持つ人たちの、どう考えても社会正義に反する「のさばりやずうずうしさ」を一度ゼロに戻し、一方、自分の頭で考え物事に真っ当に取り組む人たちを大事にしましょう。そういうことができる社会の仕組みと考え方に持って行きましょう。そのための具体的アクションを、とっととやりましょう!】ということであり、特段の既得権益を持たない多くの人がそれに素直に賛同している、ということだと思います。 そういう意味で、通底するものの本質は出口さんと極めて近いのではないかと思った次第です。
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