今回の「若者自立塾」を題材として【3】 からは、①事業構想と論点洗い出し、②フレーミングと選択肢の設定、③分析・評価と結果の共有化、④意思決定と実行の指示、という4つの検討ステップについて順に考えていきます。 ①事業構想と論点洗い出し: まず事前に、主管省庁の作成した原案について、ディシジョンボード、論点指摘・知見提供人(当該事業に関して様々な知見を持っている有識者)、そして国民に対して、その説明資料を送付・公開しておき、議論の場としてのディシジョンボード・ミーティング(DBM)は、実質的な議論を戦わせる場とするのがよいと思います。 従って、説明資料を見たうえでの、基本的なファクトに関する質問や「これについてはどう考えるのか?」といった投げかけは、一回目のDBM、すなわちDBM1の前にプロジェクトチームに送っておいてもらい、DBM1の本番は、それらを踏まえた短時間の追加説明から始める、というやり方が考えられます。 そして、それに引き続き、もっと内容の濃いディスカッション・・・単なるその場の思い付きの細かい事実関係の質問や、仕分け人が単にとうとうと持論を展開して自分の存在感をアピールすることに時間を費消しない、すなわち、様々な多面的な論点の指摘とそれに関するディスカッション、また Forces for(=この事業構想を積極的に推進すべき理由・論点) を助長したり、 Forces against(この事業構想に対する反対理由・懸念の論点)を克服するアイデア出し・・・を行います。 この際、当然のことながら、議事の生産性を高める上で、ファシリテーター(“的確かつバランスのとれた司会進行役・議事促進役”)の役割とスキルが決定的に重要です。基本的には、ディシジョンボード・メンバーの一人がその役割を果たすことになると思いますが、まさに真の意味での政治家(⇒Politician〈政治屋〉 ではないStatesman)としての真価が問われることになります。。。逆にいえば、このDBMを視聴する国民にとっては、政治家のStatesmanとしての資質を生で観察できる絶好の機会にもなるわけです。 DBM1の最後の部分は、ファシリテーターの議事運営のもと、プロジェクトチームに対してディシジョンボードから、②の「フレーミングと選択肢の設定」に向けた、今後の作業のポイントを指示することになります。 たとえば、この厚生労働省主管の「若者自立塾」の例でいえば、次のようなことが言われるのではないかと想像します。: 「今回のDBM1の中で、ニート対策として『若者自立塾』と並行して実施されている『若者自立中央センター』事業についても議論されたが、ぜひ次回のDBM2に向けた、たたき台作成の中では、この『若者自立中央センター』事業についても、検討の枠組みを広げて、検討内容に含めてもらいたい。 一方、ニートではない若者の就業支援のための『ジョブ・カフェ』事業については、主管省庁(=経済産業省)が違うからという「縦割り行政発想」の理由からではなく、あまりにも検討範囲が広がり焦点がぼやけるという理由から、まずは今回の検討範囲には入れないことにしたい。 『ジョブ・カフェ』事業との関連については、そちらはそちらで別途の事業仕分け作業を行った上で、閣僚レベルの予算全体の配分・調整作業の中で、優先順位付けの問題として取り扱われるべきものと判断します。」 検討ステップ①の「事業構想と論点洗い出し」だけで結構長くなってきたので、②の「フレーミングと選択肢の設定」以降は、次の回のブログで考えていきます。
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