学生たちとの交流。。。慶応SFC(湘南藤沢キャンパス)に行ってきました |
先週、マッキンゼーOBで友人の小杉俊哉さん が慶応藤沢キャンパスで教えている「研究開発と組織」という授業の中で、講演をしてきました。
もう数年続けている活動で、「大規模研究開発投資の戦略的意思決定理論」と題して、MOT(Management of Technology)の文脈で、戦略的マネジメントと意思決定について、11のキーワードを通じて重要コンセプトを伝えました。まだ実社会に出た経験がほとんどない学部生(1年~4年)対象なので、研究開発の中身に深く立ち入るよりも、プライベートやサークル活動などにも共通して役立つようなコンセプトを伝えました。
1.5時間の中でかなりの情報量を伝えたためか、授業中の反応は少なく、ちゃんと伝わっているのか心配し、また反応の少なさに少し残念にも思ったのですが、週末に小杉さんから送られてきた、学生達の感想文のコピーを見ると、かなり真剣によく考えながら聞いてくれていたことがわかり、嬉しく思いました。以下に、小杉さんを通じて学生に送ったフィードバックをほぼそのまま、このブログの読者の方々の参考にと、添付します。
*********************************************
12月8日の小杉先生の授業に出席した学生諸君へ。。。籠屋からのフィードバック
皆さんからの、私の講演への感想文を見せてもらいました。
授業中はあまり活発な反応が見られず、私の話がどこまで通じているか心配だったのですが、感想文を見て、皆さんが大変熱心に聞いていてくれたことが理解でき、喜んでいます。
以下、いくつか気づいたこと・感じたことなど、フィードバックという観点でお伝えしたいと思います。
①皆さんが、それぞれ自分の状況にあてはめ・引き据えて私の話を聞いていてくれたことに喜んでいます。
:私が口頭で追加した論点も含め、自分の属するサークルの活動、関係するNPO団体、バイト先の企業・職場、自分の家族・親族がかかわる企業活動など、きちんと私の話をどうあてはめるか、活用するか、という視点が述べられていました。
今後も折に触れ、感じ取ったことを活用して行ってもらいたいと願っています。
②人によって、キーワードのうちのどれが印象に残ったかが、異なっており、興味深く感じました。
:ほぼすべてのキーワードにつき、「これが一番印象に残った」と挙げている人がそれぞれいて、やはりその人のこれまでの経験やおかれた状況、また(哲学的)価値観によって感じ方・印象の持ち方が違うんだ、ということをあらためて感じました。
③今後は、講義や講演を聴く際、もっと積極的に発言しましょう!
:①や②にしても、感想文を見てはじめて分かったので、それがなければ、私の皆さんに対する印象や、自分の話がどれくらい理解されていたか、どれくらい共感を持って受け止められていたかについての感触は、非常に違ったものになっていたと思います。これは実にもったいないことです。
感想文の中に「小さいころから、人の話を聞くときは、静かにおとなしく聴くように!、と刷り込まれてしまっていたが、是非これからはこの刷り込みを打破するようにしたい」との旨を書いていた人がいて、なるほどなと思いました。
私自身も昔はこうした「刷り込み」がなくはなかったのですが、Stanfordの大学院に留学した際、アメリカ人やその他の国からの留学生に後れを取るまいと一念発起し、少なくとも自分自身が興味を持って聴ける授業については、必ず毎回一回は授業中に質問しようと心に誓い、実行しました。
皆さんもこれからは、授業や講演を聴く際は、これをトライしてみては、と思います。
特に講演を大勢の中の一聴衆として聴くときは、つい「受け身・静かに」モードになりがちなので、質問項目のメモを作りつつ話を聞くようにするのがお勧めです。
④【Not: 「こんな私にだれがした」⇒But: “It’s up to me!”】についての補足
:このキーワード1に「ものすごく励まされ、前向きに頑張ってみよう、という気になりました。」という感想もあり、こちらとしても大変嬉しく思っています。
また、このキーワード1が印象に残ったという人が非常に多かったので、これについて、つい昨日読み終えた本からの受け売り的ですが、若干の補足をしたいと思います。
著者の精神科医の先生によると、苦しい状況に追い込まれた時、心(本音)が「もう嫌だ、こんなのおかしい!耐えられない!逃げ出したい!」と思っても、教条主義的な頭(建て前)が「不満など言うべきではない。逃げるのは卑怯だ。絶対に克服しやり遂げるべきだ!」と強引に押さえつけていると、そのうちに心が反逆したり、あるいはそれもできないと、心のエネルギーが低下して行ってしまう。
したがってそれを防ぐには、まずは自分の心の声に耳を傾け、心の素直な動き(大ていの場合、喜怒哀楽の中の怒と哀を)いったん開放し、その上でまわりの状況に合わせたり働きかけたりする、よりレベルアップした柔軟な頭の動かし方を修得することが重要、という趣旨でした。
この考え方をキーワード1に適用すると、周りの状況が理不尽でうっ屈した怒りや哀しみがある場合は、まずは「こんな私にだれがした」の気持ちをいったん自分の中で承認し、それを何らかの形で発散・解放したのちに、”It’s up to me!”に進んでいくのが良さそう、ということになります。
その意味で、キーワード1も 【Not Only⇒ But Also】のパターンでとらえるのが良いかもしれません。。。もちろん、この先生も言っているのですが、怒や哀をやみくもに発散すると、社会生活上、支障をきたすことがあるので、ある種”Controlled Release”が必要です。その先生も、適度のアルコールは、頭の教条主義的締め付けの働きを緩和してくれるので有効、と述べていました。我田引水的かもしれませんが、私の「酒を飲んで、なんとか気持ちに折り合いをつける」という対処法も、そこそこ良い線を行っていたのかな、と思っています。
ほんの一こと二こと書くつもりが、ずいぶん長くなってしまったので、この辺りにしたいと思います。
感想文の中で何人かの方が質問を書いていましたが、この場では長くなりすぎるので、Replyを書くことはしないことにします。
必要ならば私に直接コンタクトしてもらっても構いませんが、もし他の学生や一般の人にも公開して良いタイプの質問であれば、できれば近日書く予定の、この授業に関する私のブログ記事へのコメントという形でお寄せ下さい。
では、皆さんの今後の活躍とご健康をお祈りしつつ、少し早いですが、良いお年を!
ディシジョンマインド 代表
籠屋邦夫 ホームページ:https://decision-mind.com/ (この中にブログコーナーがあります。)
*********************************************
この授業の後、小杉ゼミの学生たちと2時間近く、様々な意見交換・ディスカッションをしました。皆、問題意識の旺盛な積極的な学生たちで、こちらとしても楽しく充実したセッションとなりました。
学生の中に、去年私の講義を聴き、その後の交流セッションに参加したメンバーもいて、その中の一人が、昨年のセッションでも紹介した「意思決定思考の基本アプローチのロジカル人生相談」のアプローチを実践し、それによって「展望の開けない6年の恋愛を断ち切ることができました!」との報告を受け、感謝されました。。。その相手にとっては短期的には残念な(?)出来事だったかもしれませんが、少なくともこの学生当人にとっては、そして中・長期的には双方にとって良い展開になったのではないかと思います&そう祈っています! 私としては伝えたことを活用してもらえたことが、とても嬉しいことでした。
またセッションの中の「やわらかい話」として、私が最近凝っている「B級グルメ・居酒屋ツアー」(による社会観察?)も紹介したのですが、意外にこれがうけて、近々有志で一緒にやってみようという話に盛り上がりました。
以上、慶応SFC訪問記でした。ひょっとすると、この記事がらみで学生たちからの質問やコメントを紹介できるかもしれませんので、読者の方々も、乞うご期待!です。
|
コメント
|