フィギュアスケート女子個人戦の浅田真央選手の結果は、皆さんご存知の通り、ショートプログラムでは16位で苦難のスタートをしたものの、フリープログラムでは息をのむような素晴らしい演技を見せ、トータル5位でしたね。 浅田選手の金メダル獲得を願ったファンの一人としては、5位という結果自体は、彼女のために残念と思う気持ちはあります。しかし、Good Decision & Committed Executionの上でのBad Outcomeですから、これを起こりうるシナリオの1つが起こったものとして受け入れ、自身の残念な気持ちは「Sunk Cost」として忘れ、貴重な経験としての「Gained Asset」として前向きに生かして—ショートでの結果を乗り越え、フリーで最高の演技ができた自分に誇りを持って—、今後の楽しい人生の糧として行って頂きたいと心から願うものです。 浅田選手のケースは、Good Decision & Committed Executionの上での(残念ながらGood Outcomeにはならなかった)Bad Outcomeでしたが、多くの人にとっては、この「不確実性のもとでの意思決定&実行と結果の関係」、すなわち「良い意思決定=良い結果」には必ずしもならない、という現実に対する認識が弱いように思います。 医薬品の「開発行為」と薬としての認可まで至る「成功」との関係を引き合いに出してこのことを説明すると、ほとんどの人は「確かにそうだよね」と理解してくれるのですが、なかなか普段はそういうことを意識していないように思います。 (【医薬品の「開発行為」と薬としての認可まで至る「成功」との関係】とは⇒ほとんどの医薬品候補が結局、効能が十分でなかったり副作用で医薬品として認可されずに終わるので、結果的に「失敗」に終わる(=Good DecisionでもBad Outcomeにおわる)わけです。しかし、かといってそうしたBad Outcomeをすべて避けようとすれば医薬品の開発行為そのものをやめなければならず、そんなことをすれば医薬企業の未来は無くなってしまいます。したがって、Good DecisionをしてもBad Outcomeになりうることを理解しつつ、Good Decisoion &Committed Executionをやってくしかないし、それでいいんだよね!ということです) 一つには、この「Good Decisoion &Committed Executionが必ずしもGood Outcomeに結びつかない」ということ自体、心理的には決して嬉しくないリアリティであり、なんとなく意識の外に置いてしまいたい、というのがあるかもしれません。 この心理現象を防ぐために、以下のような認識を頭の片隅に置いておいたら良いのではないかと思います。(以下に出てくる「三分の一」という数字は、私の独断による単なる「えいや~」の読みで、「発想のポイントとしては役に立つのではないか」という程度のものです。) 「失敗」とされたBad Outcomeのケースのうち、 三分の一は;「どう考えても、何でそんなことをやったんだろう」という、もともとの戦略構想そのもののBad Decisionが原因で必然的に起こったもの(かつ、Bad Decisionであるにもかかわらず、たまたまGood Outcomeになった、という単に運が良かったというシナリオが起こらなかったケース) 次の三分の一は;事前にちゃんとディシジョンマネジメントを用いて検討しておけば、具体的選択肢なりアクション内容が改善されて「失敗」が回避できたり、あるいは実際に「失敗」にいたる前に途中で軌道修正できていたであろうケース 最後の三分の一は;事前のディシジョンマネジメント活用での不確実性の理解により、本来は、関係者全員が「時に利あらずして今回は残念ながら、Good Decisoion &Committed ExecutionがたまたまUnluckyにもBad Outcomeになってしまった」と理解し、すがすがしく納得感高く状況を認識することで、起こってしまった今の状況をGained Assetとして、前向きに次の策を練ることに取り組むことができたであろうケース ⇒本来こういうケースは、「失敗」と呼ぶべきですらないと思います。私は、研究開発や新規事業開発などにおいては、「こうやったらうまく行くんじゃないかという仮説が、実はそうじゃないことが分かった、それによって真理に一歩近づけた」という意味で、「成功2シナリオ」—最低限、「失敗」でなく「不成功」—と呼ぶことを推奨しています。 勿論こうしたケースにおいて、当事者にペナルティを与えて、彼らが2度と「失敗」につながる恐れがあることに取り組まなくなる、といった愚は絶対に避けなければなりません。 一方、「成功」とされたGood Outcomeのケースのうち、 三分の一は;「Good Decisoion &Committed ExecutionがちゃんとGood Outcomeになった、よかったね!」というケース 次の三分の一は;事前にちゃんとディシジョンマネジメントを用いて検討しておけば、アクション内容が改善されて「もっと大きな成功」につながっていたであろう」ケース 最後の三分の一は;「本来Bad Decisionであったにもかかわらず、たまたまGood Outcomeになった」という、単に運が良かっただけというケース ⇒なお、このケースにおいて、結果だけを見て当事者を無自覚に称賛したりすると、「勘違いの英雄」を作り上げたり、真摯にGood Decisoion &Committed Executionに取り組もうとしている人たちのやる気を削ぐことになりかねないので、要注意です。 以上、極めて雑駁なガイドラインですが、「不確実性のもとでの意思決定と結果のとらえ方」の一つの参考にしてもらえれば嬉しいです!
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