連休で少し時間ができたので、書きそびれていた幾つかのトピックのブログ記事を連続してアップして行きたいと思います。まずは第1弾です。 先日の「共感vs視点取得」の話と少し矛盾するのですが、①いろいろな企業の「トップ 対 ミドル」、②多角化した企業の「コーポレート(本社機能) 対 事業部門」のやり取りを、現場に立ち会ったり見聞きしたりする中で、往々にしてそれぞれの対(つい)の前者の方に共感を持てないことがあり、そのモヤモヤをブログ記事にすることにしました。 ①トップは「自動怒りマシーン」か?! ミドルの方々から—戦略策定のサポートという仕事上、この人たちの立場に共感を持ちすぎるのかもしれないのですが—、「トップからは、事業業績が良いとほめられ、悪いと怒られるというか責められる。しかし、どうやって業績を改善するかについて、付加価値のある助言が来ない、という状況が—もちろん皆無ではないものの—多すぎる」ということをよく聞きます。 これが事実なら—その傍証を見聞きすることが実際多いのですが—、トップというのは、経理・財務や経営企画等の業績モニタリングのスタッフ部門が用意した指標に従って、自動的に怒ったりほめたりする—「ほめたり」の頻度は圧倒的に少ないようですが—機械=「自動怒りマシーン」に過ぎないじゃないか、という怨嗟の声も当然なわけです。 ②(多角化した企業の)コーポレート(本社機能)は「単なる投資家」か?! 多角化した企業のコーポレート部門から時々聞こえるのが、「自分たちは各事業部門の現在の業績と今後の見通しにもとづいて、事業ポートフォリオの投資資源配分をする『投資家』である。業績が悪い部門に対しては、我々が納得する打開策を持ってこなければ、事業縮小や売却を進めるだけ」という上から目線的な自己認識です。 私はこれは完全な勘違いだと思います。単に投資先の選別をして資源配分をするだけなら、コーポレート部門など無くして、各事業部が直接的に外部の投資家からの投資を受ければ良いからです。 コーポレート部門というのは、そうではなく、各事業部門の状況を、外部の投資家では到底及ばぬほどにつぶさに理解した上で、コーポレートとしての全体的視点なり独自の見識なりにもとづいて、各事業部門の経営に対して高度な付加価値ある助言ができるからこそ、その存在意義があるのだと思います。 ①にしても②にしても、ミドルに対するトップ、各事業部門に対するコーポレートという、一種、業績をモニターして物申す—多くの場合、叱責する—立場に安住しての発言や自己認識になってしまっている、ということです。 いずれの場合も、これでは単なる無駄コストであり、従って、生身の人間の存在を無くしてしまって、自動業績モニタリング・ソフト&表示装置にしてしまった方がよい存在—本人たち以外のすべてのステークホルダーにとって—、ということになります。 今現在、トップやコーポレートのポジションにいる人たちは、この認識を常に頭と胸に置いておくべきですし、少なくともそんな風に「付加価値なき無用の目ざわり存在」と見られがちなポジションである、ということを十分認識すべきだと思います。 一方、ミドルや事業部門の人達に対しては、将来自らがトップやコーポレートの立場に立った時に、今の自分が共感を持てないような「付加価値なき存在」にならないように自戒し続けてほしいと思います。なぜなら、トップやコーポレートのあり方に強い問題意識を持っていたはずの人が、立場が変わったとたんに、結局また「自動怒りマシーン」や「単なる投資家」的な言動をするようになるケースが少なくないからです。 さらに言えば、現状「自動怒りマシーン」や「単なる投資家」と見られがちなトップやコーポレートの立場からすると、そういう言動をせざるを得ないほど、今現在のミドルや事業部門の取り組みや提案のレベルが低い—自分がそちらの立場なら、どう考えてももっとましな業績や提言ができるのに!—という認識があるのかもしれません。 そう考えると結局、問題はトップとコーポレートに限ったことでは決して無く、ミドルでも事業部門でも、どのポジションでも、腕まくりで付加価値をつくり発揮して行く、継続的な意欲とスキル向上が大事だということになります。 要約すれば、「企業人は、その現在の立場に関わらず、常に『腕まくりの付加価値存在』たるべし」ということですね!
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