《このブログエントリーのカテゴリー分けを、「仕事関連」か「日常/プライベート」のどちらにしようか迷いましたが、やや「仕事」の延長色が強いので、一応「仕事関連」に入れておきます。》 先週、ディシジョンラボでのお手伝いを継続的に行っているクライアントの(「A社」としておきます)、3年ほど前の卒業生の「同期会」の飲み会に招かれ行ってきました。この人たちは同期の仲がよく、けっこう頻繁に同期の飲み会をやっているらしく、私も今回で3回目の参加でした。 当時の、かなりの「血と汗と涙」のディシジョンラボの様子を思い出しつつ、また同期会に呼ばれたこと自体嬉しく感慨深いものがありました。その時、声がかかったこと・そこでいろいろ近況交換ができたことの嬉しさに加え、二つほど追加で嬉しいことがありました。 ①ひとつは、ディシジョンラボで取り上げたテーマの一つが、「いま実際に動きつつある」という知らせでした。このテーマは、お手伝いした私から見て、戦略構想自体がわくわくドキドキし、またその戦略構想の具体化と定量的リスクリターン分析の切れ味・深さともに非常にレベルの高いものでした。ただなぜか最終発表会でのトップマネジメントの反応は「拍手喝采」からは程遠いもので、私としてはその場でこのチームのアウトプットの質の高さ、提言の実現による事業価値創造のインパクトをわかってもらえるよう、できる限りのサポートをしたのですが、このときのトップの反応の弱さには正直納得がいきませんでした。 それだけに、それ以来ずっと気になっていたこともあって、このチームの人たちがトップの反応の弱さにめげず、その後の粘り強い活動によって戦略提言を「実際に動かしつつある」という知らせは非常に嬉しいものでした。この戦略構想の中核となる新コンセプトの製品のプロトタイプが既に出来上がり、それを活用した本格的な事業化活動が体制整備も含めて動き始め、当初想定した成果の見通しもついてきた、とのことでした。 ディシジョンラボの提言が実際に動き出したかどうか自体、クライアント企業にとって戦略的に重要な情報のため、エデュサルティングのサポートが終わった後では私からは知りえない、という性格をもっています。それだけに、同期会の席で概略でも知らせてもらえたことは、卒業生から私への信頼感、という意味で嬉しかったのです。 さらに加えての嬉しさとしては、たとえ発表の場でのトップからの反応が芳しくなくても、必ずしもがっかりする必要はない、とあらためて思えたこともあります。つまり、パッションある受講生が、顧客にとって、社会にとって、会社にとって良かれと信じて責任感をもって作り上げた提案は、ちゃんと価値があるのであって、仮に発表会の場での反応が弱くてもがっかりせず、その後、自分たちの提言の本質的な価値を信じて、トップを含む様々な人たちを熱意を持って巻き込んで進めていけば、価値創造につながるんだ、という、ディシジョンラボの価値を再確認できたことが私にとって非常に嬉しかったのです。 このテーマ自体は、まだ「力強く動いている」という段階ですが、以前別の会社(B社としておきましょう)のディシジョンラボの提言についても似たようなことがあり、提言発表の場では「弱い反応」というより、かなりコテンパンに批判されました。A社のチームの人達と同様、このB社のチームもトップからの反応にくじけず粘り強く関係者を巻き込んで実行にこぎつけ、その後、実際に新規事業として成功裏に立ち上げることができ、結果的には、今ではそのテーマの属する事業部門の中核事業の一つに位置付けられている、とのことです。 もちろん最終発表会でのトップマネジメントからのコメントや助言を、「先輩経営者」の意見として真摯に聞くことはとても重要なのですが、彼らも人の子なので常に100%的確なフィードバックが来るとは限りません。したがって、基本姿勢として、自分たちの提言にパッションをもった上で、トップの意見を「建設的批判精神」をもって受け止め、自分たちの検討の不十分なところの改善にそれをどんどん活用する、という前向きな姿勢を持つことが重要なのです。 ②二つ目に嬉しかったことは、この同期会の飲み会の最中に、当時のメンバーの一人で現在海外に住んでいる人から電話が入ったことです。この人は、事情があって残念ながら今はA社から離れているのですが、「同じ釜の飯を食った」仲間として、ずっと交流を続けているのだそうです。今回は残念ながら参加できなかったので、わざわざこの同期会のタイミングを計って電話をくれて、私もお話し、近況交換の会話をし、大変懐かしく感じた次第です。 これに関連し、この同期会の一次会の最後で、私に何か一言、と言われてお話したことの主旨を紹介してみたいと思います。 ************************************************* 今日は大変楽しい会でした。皆さんにはぜひ今後も、この同期会を大切にしていって頂きたいと思います。 これからのJob Securityの中心は「信頼できる友人関係」にあり、「勤務する会社」ではなくなってきています。つまり、昔と違って、一つの会社や組織にずっと所属して、その所属する会社が、一生仕事や身分の保障をしてくれる、というのは、どんどん幻想になりつつあります。これからの世の中、一般論で言うと、極端な場合、会社が潰れることがあるかもしれないし、つぶれないにしても、M&Aで(自分は転職するつもりがなくても)所属する会社や仕事内容が変わるかもしれません。もちろん自分のキャリア追及のためや、やりたいことが変わることによって自ら転職、ということも十分考えられるのです。 こうした状況にあっては、必然的に仕事の保障・安定を、所属する会社や組織に求めることができにくくなります。しかしこれをネガティブにとらえるのではなく、むしろ、その時その時の仕事に熱意をもって打ち込む中で培われる、「同じ釜の飯を食った」仲間との信頼関係が、中長期的なJob Securityにつながる、と考えればよいのです。 シリコンバレーで過ごした10年間で私が見聞きした経験からすると、このことを非常に切実な実感として感じることができます。ご存じの通り、シリコンバレーでは会社の栄枯盛衰が激しいのですが、その活動の中でできた「信頼できる友人のネットワーク」から次の仕事のチャンスが出てくるのです。単に仲の良い友人というのでなく、非常にチャレンジングな仕事に一緒に取り組み、ともに苦労した中で培われた信頼関係だからこそ、また次のチャレンジの機会に一緒に仕事をしたいという気持ちにつながり、声が掛かるのです。。。こうしてシリコンバレー全体に張り巡らされた「信頼できる友人関係」のネットワークが、個人個人のJob Securityになっている、という実感です。日本でも、すでに一部にはこうした状況が顕在化してきており、今後ますますこの傾向は強まるものと思われます。 もちろん、この前提のもとでの気構えを持ちつつ、結果として一つの会社・組織の中でキャリアを積むことになれば、それはそれで大変幸せなことなのですが、会社側としても、「会社にべったり依存」の社員でなく、「信頼できる友人ネットワーク」を持つ社員が、自らの意思で自社を選び続けてくれる状況の方が、はるかにHappy なはずなのです。 だからこそ、この同期会を、皆さんには、ぜひ今後とも大事にし続けてほしいと思います。また、その同期会の「名誉会員」として、私にも時々声をかけてもらえると大変嬉しいです。 ************************************************* といった挨拶をしました。 以上、あまりまとまりのない話になってしまいましたが、最近の嬉しいトピックでした。
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