先週末の9月5日と6日の土日に、立命館大学の大学院での集中講義に行ってきました。場所は立命館大学の「びわこ・くさつキャンパス」というところで、東京から新幹線を京都で下車し、20分ほど在来線で戻って南草津という駅で降ります。もう今年で5年目で、毎年いろいろと刺激があり、楽しみにしている授業です。 教えているのは、大学院の「テクノロジー・マネジメント研究科(通称、MOT大学院)」というところで、イノベーションマネジメントの観点から「意思決定論」の授業を行っています。今年の受講生は、社会人学生の割合が高いこともあってか、例年にもまして熱心で、こちらも、たいへん教えがい・ディスカッションのしがいがありました。 その中で一つ感じたのは、講義や演習に十分に時間をとることの重要性です。通常の企業研修であれば、2日間で伝えるところを、この集中講義では、ほぼ4日間かけます。。。ということで、先週末の2日間に加え、さ来週末の2日間で続きの授業を行います。 学部から直接大学院にきた学生も多いので、社会・会社に関する常識的なことを知らないことも想定して、背景説明や質疑応答にじっくり時間をかけるためなのですが、このことが副産物として、社会人学生も含めて、学生に良い効果を提供できることに、あらためて気づかされました。 具体的には、説明をいつもの私のペースよりだいぶゆっくりと行うことで、受講者側が、内容を咀嚼し・消化する時間を十分にとることができ、結果的にさらなる質問が出てくる、そしてそれに私が答えることで、私自身、いつもなら話さないところ(正確には、普段なら「話したらさらに良い」ことに気づかずに終わってしまっている内容・トピック)まで伝えることができました。また、グループワークの時間もたっぷりとり、発表・質疑応答も時間的制約をあまり気にせずに行ったため、学生としては気のすむまで・納得できるまで作業・ディスカッションができ、これまた深い議論ができました。 先週末の二日間の授業から、さ来週末の二日間まで間があいているので、この間、学生たちの内容理解の咀嚼・消化、また熟成が進む結果、次回の授業では、また新たな質問が飛び出してきて、さらに内容の濃いディスカッションができるのではないかと期待しています。 私は、通常の企業研修では時間的制約から、できるだけ効率的にセッションを進め、また受講生がとまどったり混乱したりしないよう先回りして手助けする、かなり(というか非常に)親切モードで講義や指導を行っています。しかし今回の2日間を振りかえると、ひょっとして、この「親切モード・高効率モード」が、受講生が自らのとまどいや混乱を通して、じっくり咀嚼・消化・熟成を行う機会を奪っているのかもしれない、と考えさせられました。 私自身の大学・大学院、また社会人での学びの経験に照らしても、決して親切とはいえない先生の授業や指導が理解できなかったり、また時に理不尽ともいえる上司からの指示・要求に戸惑い・混乱しストラッグルした中で、必死に自分自身で内容を咀嚼・消化・熟成し獲得したものが、結局その後、一番身になっているように思います。 私が今行っている企業研修の場合、時間的制約が大きく、その中でできるだけ多くを効率的に伝え、また実質的にサポートすることが期待されているのは事実なので、一挙にモードを変えることは難しいとは思いますが、必ずしも「親切・高効率モード」だけが良いわけではない、ということを今後は頭の隅においておくようにしようかと思い始めています。 さ来週末もまた残り二日間の授業がありますので、また何か新たな発見・気づきなど出てくることを楽しみにしています。
スパムが非常に多いため、一時的にコメントは受け付けないように設定しました。コメントを頂ける方は、CONTACT USにある当社のメールアドレスまで直接お寄せ下さい。