「中小企業政策の方向性 既存企業の退出促進も重要」って、違和感を感じたので少し考えてみました(2) |
前回のブログでは、1つ目の疑問【「生産性の低い中小企業の退出促進」という発想と、その具体策についての疑問】について論じましたが、今回は2つ目の疑問について考えてみます。 以上の考え方については村山さんとの何回かのやりとりで、どうやらかなりナイーブ(=ものを知らない未熟)な議論だったのではないかと感じています。考え方の修正内容を以下に記してみます。 【株で儲けようという意向を持たない一般庶民が、手持ちのお金を貯蓄(銀行などの預金)だけに回していても、それは銀行などの金融機関から企業への貸し出しないし投資として企業社会に供給されるのだから、多くの庶民レベルの日本人の金融資産の大半が貯金に回されていても、それが原因で経済活性化が阻害される、などということはないのではないか。従って、政府がこのところ盛んに言っている「貯蓄から投資へ」なんていうキャンペーンは、全くの余計なお世話!】 ということになります。 ● 修正ポイント1:「貯蓄されたお金の持つリスクミニマム性による、企業の資本投資資金としての限界」 したがって企業が求めるリスクの高い(とは言っても、リスクリターン的には十分妥当な)案件や事業に対しては、貯蓄に回ったお金は回されにくく、結局は企業は、貯金経由のお金だけでは、ある程度リスクの高い成長投資や不確実性の高い新規事業に投入するお金を十分調達できない。つまりは、それが企業の成長の足かせになる。 その面での改善余地もまだまだあるようには思いますが、より本質的には、貯蓄されたお金の持つ「リスクミニマムでの運用を余儀なくされる」という縛りが、貯蓄だけでは企業の成長投資への資金提供源として力不足、ということのようです。 ● 修正ポイント2:「楽観的確信の『預言の自己成就』による経済の活性化」
このことが「予言の自己成就」として、「一般庶民が貯蓄を投資に回そうとしない⇒株式市場にリスク高に寛容な資金が回らない⇒企業が成長投資や新規事業につぎ込むお金が十分調達できない⇒企業成長ができにくい⇒社員としての一般庶民の給料も上がらない⇒消費も盛り上がらない⇒経済が活性化しない」という、残念なサイクルを引き起こしていると考えられます。 【人生100年時代、老後の資金は最低2000万円必要。でも実際にはそれは難しく、大半の人が貧困にあえぐことになる。少子高齢化の中で国や自治体の財政は破綻する可能性があるし、年金だって破綻しないまでも先輩年代の人たちに比べてずっと少なくしかもらえない。財政破綻させないためには増税が必要】 なんていう悲観と恐怖のストーリーを政府やマスコミや学者・評論家などがこぞって言うなど、もってのほか。 【人生100年時代。生涯健康に楽しく過ごすために、「肉体健康のための自分への投資や精神的健康や楽しみのための消費」は十分しつつ、余裕分のお金は、それぞれの個人のリスク許容度に応じて、リスクミニマムの貯蓄だけでなく、ある程度のリスクを許容した株式などの投資に回しましょう。それが回りまわって経済全体を活性化し、それによる投資のリターンによって人生後期もお金に困ることなく健康に楽しくなるので、自分のためのみならず他の人たちや今後の世代の人たちのためにも、「それなり+α」の消費を行い、お金は貯金だけでなく投資にもある程度以上回して資産形成も行いましょう!】 といったポジティブなメッセージを頻度高く一貫性をもって発信していく。 【「悲観的確信」をもつ多くの国民に迎合して、あるいは悲観的精神を加速することが好きな(=結局、そうやって短期的に儲けようとしている—実は回りまわって、長期的には日本経済全体の低迷で自分たちの首を絞めることになるのですが)マスコミや学者・評論家などの中の「日本ダメだ論者」が好む材料を政府が提供している】 ことのように感じます。 その意味では、繰り返しになりますが、上に挙げた国民全般に影響力を持つ人たちには、同じ状況でもできるだけポジティブにとらえた見方を発信して頂きたい、と強く願います。 一方、そう願う私個人としてできることは限定的ですが、”It’s up to me/us!”の自律&衆知思考と”Have fun!”の楽観的前向き精神のディシジョンマネジメントの考え方を心ある多くの方々に引き続き伝えて行くこと。そしてそうした個人や企業・組織の具体的な意思決定を、彼らが今後得られる(お金だけでない様々な価値判断尺度を反映した)嬉しさのトータル量を、できるだけ前向きに大きくすることに向けてサポートすること。こうした活動で、ささやかながら役立って行きたいと思っています。 以上、日経新聞の記事に触発されて村山尚武さんと「真剣な雑談」をした内容・考察を、あくまで今時点での考えとして忘備録的にまとめてみました。ご一読いただき、読者の方々の何らかの参考になれば幸いです。 |
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