最近、韓国発のグローバル企業の好調ぶりに刺激されるなどして、オーナー系企業の即断即決やスピード経営がもてはやされ、根回し型の意思決定の遅さが日本企業の衰退の元凶、といった論調・風潮がまたぞろ出てきているように思います。 逆説的ですが、私は、「意思決定は遅ければ遅いほど良い」と思っています。なぜなら、時期が後になればなるほど、新たな情報が入手でき、また新たな優れた選択肢が出現したり創出できるチャンスが広がるからです。。。もちろん大きな但し書きがつきます: 今時点で思いつく限りの複数の選択肢の価値が大きく棄損しない限りにおいて、です。 つまり、冒頭に挙げた論調の意味合いを十分に理解したうえで、「思考停止の先送り」を排したうえでの「戦略的延期」は大いにOK、ということです! 世の中の識者ぶった人たちが「日本企業の最大の問題は、組織の根回しによる意思決定の遅さにある」などというのを見るたび・聞くたびに、「もう、いい加減に知ったかぶりの評論家はやめてくれ!」感をもちます。そういった論の帰結として、オーナー型企業の即断即決がもてはやされ、それに刺激を受けた「勘違いの似非オーナー型」の経営者が(サラリーマンかオーナーかにかかわらず)出てきて、放っておけば あと5年はもったかもしれない会社を瞬時に潰す、といったことになりかねません。。。「ありえない英雄」待望論が、独裁と独断と破滅への道を開きかねないのです。 世の多くの、組織に属するビジネスマンへの方々への問いかけ・呼びかけです: ○もういい加減に、「ありえない英雄」待望論に惑わされるのはやめにしませんか?! 誰が、即断即決の独断的オーナーに牛耳られ 社員はそれに従うだけ、なんて会社に勤めたいと思いますか? ましてやそれが、悪い冗談の幻想だとしたら! ○それなりに賢くやる気のある、全能では決してないと自己認識しつつも、自分の得意領域にそれなりに自負を持っている人たちが、プロフェッショナルとしての衆知を結集して、互いに信頼に結ばれ尊敬しあう間柄同士で一緒に仕事を進め、本気で力を合わせて行くスタイルでいいじゃないですか、それに自信を持ちましょう!。。。それでダメなら潔よくあきらめればいいんだから、くらいの強い覚悟をもって! そもそも、「スピード経営」で知られる、あの日産のゴーンさんにしても、よく聞けば、《重要な課題について決断する前には、周到な検討をし熟慮をしたうえで、「これ以上検討しても新たな材料は出てこない、そして、今決断を後延ばしにすることは、先送り自体が事業価値の甚大な損出につながる」と判断できる場合に、それでも先送りしたそれまでの日産の経営陣とは違い、その場で決断する》ってことだけなのですから。 ということで、われわれが目指すべきは「ジャスト・イン・タイムな衆知の意思決定」、すなわち次の4つのステップを踏んだ、衆知を重んじる日本人らしさを保持した改善方向なのだと思います。。。当然ながら、今のグローバル化した企業活動の中では、ここでいう 良い意味での「日本人らしさ」を担うのが、必ずしも生物学的・遺伝学的な日本人である必要はありません。 ①まず、自社の長期的事業業績に大きな影響を与える可能性があると認識する「戦略アジェンダ」、すなわち、重要戦略課題のリストを作成すること ②戦略アジェンダの各課題ごとに、今現在考えられそうな複数の選択肢の価値が大きく棄損する恐れのない、ぎりぎり遅いタイミングがいつか、すなわち各課題の検討と最終意思決定時期のデッドラインを設定すること ③その上で、各課題ごとに、様々な関係部門からなる、最適のディシジョンボード・メンバーとプロジェクトメンバーを選定すること ④そして彼らが衆知を結集して、自社にとってベストの選択肢を創出し リスクリターンの測定をきちんと行った上で、意思意思決定をし、コミットメントをもって実行に移していくことです。 日本企業の、Passionを持ち賢くやる気のある人たちへ!: 「ジャスト・イン・タイムな衆知の意思決定」で、「オーナー系の即断即決」なるものに対抗し、打ち勝とう! 。。。唐突ですが、 「サラリーマン金太郎」という漫画・TVドラマの主人公である金太郎が叫ぶ、「本気のサラリーマンをなめんなよ!」という言葉が気に入っています。私がここで言わんとする意味は、サラリーマンかオーナーかは、実は問題でなく、「人生に本気か、仕事にプロフェッショナルか」ということです。ということで、上の文章を若干修正して; 「【本気のプロフェッショナル達】のジャスト・イン・タイムな衆知の意思決定」で、「オーナー系の即断即決」なるものに対抗し、打ち勝とう!
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