7月21日の日経新聞朝刊の「大機小機」というコラムに、「政党は国の形を問え」というタイトルで、なかなかいいことが書かれていました。印象に残ったところを引用してみます。 ********************************************** ・・・・・基本理念とは、意見の分かれる具体策を巡って初めて明らかになる。グローバル化の中で人口減少への抜本的解決策は、移民の容認である。これには様々な反対が予想される。だが、そこまでして成長を維持するのか、移民を容認しないで低成長に甘んじるかは、国の形を決める。・・・・成長促進には小泉政権下のような規制緩和が有効である。しかし、成長の初期には格差拡大は避けられず、その成果が全国民に行き渡るには時間がかかる。だが、格差なく全国民が等しく成長することは夢物語である。成長のコストをどれだけ容認するか、これも国の形にかかわる選択になる・・・・・ ********************************************* その通りだと思います。。。 「世界の人たちと仲良くするために移民は積極的に受け入れ、同時に日本の文化と日本民族の遺伝子を持つ人たちの維持拡大も成し遂げ、それによって力強い経済成長を達成し、かつ移民が増えることに起因する問題も完全に克服できる」パーフェクトな施策が見つかれば問題はありません。 しかし、そうした理想解が見つからないからこそ、この現実認識に立った上で、複数の選択肢を設定し、それを複数の価値判断尺度に照らして評価し、その上で、「この悩ましいトレードオフ(=あちら立てればこちら立たず関係)の中で、我が党としては、こちらの価値判断尺度を優先して、この選択肢を選びます」と各政党が提示してしてくれると、有権者は誰に・どの政党に投票するか、きわめてわかりやすくなると思います。 美辞麗句で「世界の人たちと仲良く&日本文化と日本民族を保持発展&力強い経済成長」とだけ言っているだけでは、一向に「意見の分かれる具体策への取り組み」は進まないのです。 前総理の鳩山さんがそのことの重要性を、「普天間の基地問題」と「2020年までにCO2 25%削減」宣言で端的に示してくれました。前者についてはあらためて解説する必要もないと思いますので、後者についてだけ、鳩山さんが本来語るべきだったと思う言葉を示す、という形で少し解説します。 【日本は、世界の最先端の環境先進国を目指します。そのために、○○、××、□□・・・・・といった施策に今後10年間集中的に取り組みます。結果として、日本の10年後の状況は、こんな風に、こんな風に・・・・・なることが期待されますし、それを目指します。経済的にも、これこれ、これこれ・・・・・の分野で世界をリードする産業の成長が期待されますし、それを目指します。 ただし、これを実現する中で、AA、BB,CC・・・といった産業は衰退することが予想されます。また初期段階では、この施策を推進するために国民の税負担増大をお願いしたり、投資先行のために一時的に企業業績にダメージを受ける業界が出てくることも、残念ながら予想され、それを補うための補助金交付も税負担においてまかなう必要が出てきます。 しかしながら、世界に誇るべき環境先進国という栄誉と、それに伴う、長期的視点で見た経済的リターンを目指して、日本国民として、この短中期的痛みを誇りを持って引き受けましょう!】 本来こういうことを、選挙前に正々堂々と宣言したうえで総選挙を行うべきで、それなしにいきなり「2020年までにCO2 25%削減」を国際公約に謳うのは、多くの国民にとっては「話が違う!」となるわけです。もちろん、「そんな耳に痛いことを国民に発信するのは政治的に不可能!」と指摘されるのは、いかに政治音痴の私とて承知していますが、「意見の分かれる具体策への取り組み」と、そのために国民に“楽しくない話”も含めてきちんと伝え賛同を得ることこそが、成熟社会における政治の本来の仕事なのではないでしょうか? そうした活動の中からこそ、「トレードオフ判断を伴う、やむにやまれぬ切実感・切迫感」をもった基本理念が出てくるのではないかと思います。 少し長くなってきたので、(2)に書き継いで行きます。
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