少し前の日経新聞スポーツ欄に、豊田泰光さんという野球評論家が、【「とりあえず」の効用】というコラムを書いていました。曰く: 《・・・・・窮地に陥ると、だれもが余裕をなくし、やるべきことを見失いがちだ。そんなとき、とりあえずでよいから、手近な目標を定めるといい。仮設の足場にすぎないかもしれないが、何もしないことには人間、一歩も上がれないのだから。苦しいときには「とりあえず」がお薦めだ。》 「誰しも、今俎上にある/availableな、自分が実行/着手できる選択肢の中からしか選べない」という原理の前で、この割り切り方は極めて有効だと思います。そして「とりあえず今やれること」に取り組むうちに、それを通じて次の展望が開けてくる可能性もあるのです。。。いわゆる「青い鳥症候群」に陥らないように、ということです。 そうであるはずなのに—–自戒を込めて言えば—–、今見つからない「すばらしい/全てを解決できる策=青い鳥」を夢見て、「もっと良い策があるはずだ」の自縄自縛に陥り、手をこまぬいたり悩んだりしている人にとって、「とりあえずで良いんだ!」という肯定は大いに役立つと思います。 もちろん、今現在見えている安易な選択肢でないものを作る/見つける努力をすることは大切だし尊いのですが、時間との闘いの中で、「とりあえず」の手打ちをし気持ちに折り合いをつけて前に進んでみる、という割り切りもバランス感覚として備えて置く必要があるのです。 大成功したビジネスモデルや起業家にしても、その当時の状況を詳しく見聞きすると、当事者が最初から天才的にそれを思いついたり見つけた例よりも、「その状況にいたら、ひょっとしたら自分でもやれたんではないか」、と思えるケースの方がずっと多いと感じます。。。もちろんそういう状況の人が10人いたとして、本当にそれを実現できる能力と強い意欲を持つ人&ある程度の幸運に恵まれる人は、せいぜい2~3人しかいないとしても。 「このアイデア・構想は、『とりあえず』なんかじゃない、すごい案なんだぞ!」と思える状況の方が嬉しいに決まっていますが、人生も事業も何とか生き延びてさえいれば、そう遠くないうちに、何度もチャンスは巡ってきたり/作れたりするのですから、「青い鳥自縛症」でとどまることなく、「とりあえず進む」をモットーとしてやっていくのが良いと思う次第です。
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