「一緒にディシジョンマネジメント on TPPをめぐる論点整理」。。。2.Force-field Diagramによる論点整理 |
カテゴリー: 勝手にディシジョンマネジメント 2012 年 2 月 23 日 コメント(0) |
先日のブログでご案内した、立命館大学大学院の有志の皆さんからのフォース・フィールド・ダイアグラム(F-fD:Force-field Diagram)が届いたので、読者の皆さんに共有したいと思います。(チャートをクリックすると、大きい図として見ることができます) 。。。如何でしょうか?ここにカバーされていない他の論点も多くあるとは思いますが、取り上げた論点としてはかなり的確に叙述できていると思います。 いろいろな企業のディシジョンラボでF-fDを作ってもらうと、論点の記述が簡潔すぎて、というか不親切で、いったい何を意味しているかよくわからない、従ってそこから意思決定項目やオプション、不確実要因、価値判断尺度が読み取れないケースが多く見られます。 そういう場合、たいてい文章の最後が体言どめや名詞どめになっているので、これを「できるだけ形容詞どめ/形容動詞どめ/動詞どめにし、多少長くなっても構わないので親切モードでわかりやすく書き直して下さい」と助言するようにしています。 それによって意思決定項目やオプション、不確実要因、価値判断尺度が読み取りやすくなり、従ってその後の、ディシジョンヒエラルキーづくり/ストラテジーテーブルづくり/価値判断尺度のリストづくり/不確実要因を反映したインフルエンスダイアグラムづくり/収益計算モデルづくりとリスクリターン分析につなげられるからです。 さて上のF-fDから、どんな感じでこの「読み取り」をするのか、たとえばの例を示してみます。(以下では、複数の論点から抽出した項目をまとめて示してありますが、もし皆さんが実際にトライする場合は、まずは一つ一つの論点から項目抽出作業をして行って、最後に重複を整理したり、複数論点から創造的に新たなものを考える、というように丁寧にやってみてください。) 【1】F-fDの「自動車」の②の各論点から 〇意思決定項目(正確には、TPP交渉の場で日本政府が、各意思決定項目において、どのオプションを主張するか、ということかと思います。なお、各意思決定項目の後ろのカッコの中は、考えられるオプション例を示します。): a.車に関する安全・環境基準の設定方法(TPPの全加盟国共通なものにする/一律の設定はせず、それぞれの国の判断に任せる/・・・) b.日本の安全・環境基準のレベル(現状/現状より高める/低くする/・・・) c.日本で生産を行うことに向けての国からのサポートの有無と方法(企業への雇用奨励補助金ないし税控除/雇用者への直接的補助金支給により、企業の人件費低減を可能にする/・・・) 〇不確実要因(いずれも時系列推移のシナリオで読むが、一つのわかりやすい目安として2025年時点での数字を使う): イ.日系自動車メーカーの米国、中国、日本での販売台数、生産台数、販売金額 ロ.日本での関連産業全体での雇用者数 〇価値判断基準:上記のイ.、ロ.は、いずれも価値判断尺度の候補にもなりうると思います。 【2】F-fDの「米(コメ)」の②の各論点から: 〇意思決定項目: d.主業農家の経営力強化への施策(スキルアップ研修/経営規模拡大や転作などにかかわる投資・経費への減税や補助金/・・・) e.兼業農家への施策(補助金の直接支払い/転業補助金/・・・) f.生態系保全への施策(地域共同体の活動への補助金/ボランティア団体への支援/特段の施策せず/・・・) 〇不確実要因: ハ.主業農家数/法人数および雇用人数 ニ.兼業農家数/雇用人数 ホ.農業従事者一人当たり所得(主業者および兼業者) ヘ.日本でのコメ生産量と、そのうちの輸出量 ト.海外からのコメ輸入量 チ.加工食品産業全体の売り上げと利益、輸出金額、およびそこでの雇用者数 〇価値判断基準:上記のハ.~チ.は、いずれも価値判断尺度の候補にもなりうると思います。 以上の例を見て、感じがつかめたでしょうか? 意思決定項目の中に示したオプション例については、具体的でなかったり的外れもあると思います。不確実要因は、このほかにもっとあると思いますし、価値判断尺度は既にして数が多すぎる気がします。この時点では、知識不足・情報不足ということで、ご容赦下さい。。。本来こうした作業は、対象とする課題にふさわしい知識や見解を持った様々な分野・専門の人たちがコラボレーションして行うべきものですので。 今回F-fDのトライアルを送ってくれた立命館の有志の人たちが、引き続き、意思決定項目やオプション、不確実要因、価値判断尺度の読み取りと、それにもとづくディシジョンヒエラルキーの作成にチャレンジしてくれることになっています。次回のブログ記事では、それをご紹介しようと思いますので、楽しみにしていてください。 |
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