ここまでは、トレードオフ判断は、不確実性の中での「期待値 vs リスク(=結果としてのNPVの振れ幅)」の間でのトレードオフについて議論してきました。しかしトレードオフ判断は、「期待値 vs リスク」に限らず、もっと幅広くとらえる必要があります。
つまり、「期待値 vs リスク」に加えて、「5年間のNPV vs 10年間のNPV vs 投資回収期間 vs 社員のモティベーション vs・・・」というように、複数の価値判断尺度のもとでの意思決定において常に出てくる「あちら立てればこちら立たず」関係の中での、哲学的価値観に照らした—というとカッコ良いですが、実際には苦渋の中での「最後はうーん、実に悩ましいけど、決めるしかない。エイ、これで行こう!」という—トレードオフ判断を行う必要があるのが、意思決定の実態なのです。