2014年GWブログアップ、第3弾です。 第1弾、2弾で、主として企業トップの方々を念頭に、ポジションにあぐらをかいたり独善的になったりする危険性を指摘しましたが、今回は、不幸にしてそうした状況で働かねばならない状況にあるミドルの方々向けのメッセージです。かなり青臭い議論になりますが、「正論主張のブログ」ということでご容赦ください。 ポジションにあぐらをかいたり独善的になってしまったトップ層がいる、あるいはそれに類する現象が観察される状況は、ほぼ間違いなく、本来のその会社のミッションやビジョンからは遠く離れた状況のはずです。したがって、そういう状況や立場に甘んじてしまうのは、創業者の志や企業としての高邁な理想に照らしてみれば、本来間違っているのです。 しかしながら一介のミドルとしては、権力者にたてつく言動は、社内での自己保身・保全の観点からは、非常にしづらいのも厳然たる事実でしょう。そこで、このつらい状況に風穴をあける発想・気構えが、今回の「遺言戦略」です。遺言戦略には二つありますので—両方とも単に私の着想・命名ですが—、一つづつ紹介して行きます。 ①「遺言戦略1」:会社を去るにあたって、仲間たちに残す言葉 実家が事業をやっているのだが、後継ぎと目された兄が体を悪くしてしまい、父親も高齢のため、どうしても自分が実家の事業を継がねばならなくなった。そのため、心ならずも、愛するこの会社を来月には去らねばならず、この際、ぜひ仲間たちに「これだけは言い残したい」という場面で言いたくなる言葉です。 ずっとこの会社にいるつもりの時には、サラリーマンとして上層部の顔色を気にしたり、まわりとの軋轢を避けるために言わずに済ませてきたが、本当は心の底では「うちの会社は、もっとこういう風にすべきだ!」とか「うちの会社のここは・これは、ヘンだから・間尺に合わないから、ぜひ即刻やめたほうが良い!」と思ってきた。 しかし、来月からはこの会社とは縁が切れるので、去る前に、残る仲間たちに対して、「この会社をもっと良くするために、これだけは言っておきたい。この際言ってしまおう!」というのが、遺言戦略1です。 ②「遺言戦略2」:この世を去るにあたって、子供たちに残す言葉 突然「余命3カ月」とがんの宣告をされた。死に臨んで、愛する息子・娘に対して、「お父さんは(お母さんは)、こういう仕事をやって、君たちを食べさせてきたんだよ!」と言い残してこの世を去って行きたい。その時、本当に胸を張って言える仕事や言動をして来たのか?、と胸に手を当てて自問自答する場面を思い浮かべてみる。 もしその時、「ああ、自分はサラリーマンの身過ぎ世過ぎとはいえ、こんなことで人生の時間を過ごしてきたのか。自分の子供たちにも、自分を生み育ててくれた両親にも、こんなことは恥ずかしくて・情けなさ過ぎて言えないよ。。。」ということがあるのなら、できるだけ早くそんなことはやめてしまいましょう!、その発想で一歩でも二歩でも踏み出してみましょう!、というのが遺言戦略2です。 「遺言戦略1」も「遺言戦略2」も、思い切って真っ当なことを主張してみよう、もっと良い会社にするための言動に勇気を持って踏み出しましょう、という主旨です。 当面は会社にもこの世にもいる、という前提の方々にとって、難しいかもしれません。しかし、志ある一人一人が5%づつの勇気を持って発信・発動して行けば、その一人のほんの少しの勇気が仲間を呼ぶことで—たとえば10人が5%づつ頑張って、それが連動すれば、1.05の10乗は1.6倍、100人なら130倍、1000人なら10の21乗倍。。。と—、会社は劇的に良くなって行くはずです。その思いで、昨年あたりから、ことあるごとに、これはと思う方々に「遺言戦略」をお勧めしています。 ちなみに、最近よく耳にする「〇〇ウェイ」とか「クレド(信条)経営」というのも、その目指すところは、「遺言戦略」を遺言を言う状況ではなく普段から言えるような会社にしよう、というものではないかと思います。そして、社員が生き生きと働き業績も良い会社ほど、遺言戦略で言い残さなければならないような不条理を無くす努力に、会社全体で本気で取り組んでいるように思います。 とくに有名なものとして、ジョンソン&ジョンソンの「クレド経営」がありますが、毎年毎年、非常に大きなエネルギーをかけて、経営や組織をクレドの理想に近づける努力を続けているとのことです。 皆さんも、自分の所属する会社・組織を、「遺言戦略1&2」を遺言でなく言える会社にすべく、少しの勇気を持って、そして志を共有する仲間と一緒に、ぜひ取り組んで行って頂きたいと心から願うものです。
スパムが非常に多いため、一時的にコメントは受け付けないように設定しました。コメントを頂ける方は、CONTACT USにある当社のメールアドレスまで直接お寄せ下さい。