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「自動怒りマシーン」体制を打破し、社員が創造力を発揮しながら、衆知錬成ができる経営を目指そう!(2)
カテゴリー:
エッセイ・論説
2018 年 5 月 2 日
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前回のブログ記事
では、あるビジネス誌に掲載されていた「社員(アナタ)の賞味期限-増える『歳だけ重ね人材』」というタイトルの記事について、私なりの解釈や批判を述べました。
人を「マックジョブ型人材」と「クリエイティブジョブ型人材」に分け、「マックジョブ型人材」の「クリエイティブジョブ型人材」への転換・再教育は、ほぼ無理と決めつけ、「上位管理者」という名の、社内で上手く立ち回り「自動怒りマシーン」体制の中での「怒り役」という、甘い汁を扱えるポジションにたどりつくことを推奨している内容は、全く理解に苦しみます。
続編としてのこのブログでは、「ではどうするか」ということについての私の処方箋というか考え方を示してみたいと思います。
まず、そもそも論として、すべての仕事は、はじめは非定型で、その場その場で色々工夫して何とかする、というクリエイティブジョブだったはずです。
そこから、定型化し、効率化できる部分を切り出して、マックジョブにして行った訳です。
従って、マックジョブが増えるのは、人間社会や企業の進歩にほかなりません。
人間はその本性として(と思うのですが)、マックジョブ的にできるような内容の仕事をクリエイティブに(=非定型的に)やっていると、
「何で、いつもいつも同じようなことをやってるんだろう。もっとQuickに定型的に効率的にできるんじゃないだろうか?そしてそういう面白くない仕事を早く片づけて、もっと興味を持てる仕事に、都度都度工夫しながら(=非定型/クリエイティブに)取り組んで行きたい!」
と思う存在なのだと思います。
この本性に基づく動き、つまり「非定型ジョブ→定型化・マック化による効率化→浮いた時間・労力でもっと面白い非定型ジョブにクリエイティブに取り組む」を加速してくれるのが機械化であり、ソフトウェアであり、AIという道具たちなのだと思います。
従って、AIの導入は、マックジョブにからめ取られていた社員をそこから解放し、彼らのクリエイティブな部分を発揮するための心と時間の「余裕しろ」を作ることに、大いに役立つはずなのです。
経営者たるもの、「マックジョブ型人材」の「クリエイティブジョブ型人材」への転換・再教育は無理、などと、自分だけは上位管理者として逃げ切ったつもりで、上から目線で語っている場合ではないのです。
そもそも、クリエイティブ人材への「転換・再教育」などというとらえ方自体、全人格的な人間としての社員に対する冒涜です。社員の「クリエイティブ部分の解き放ち」とか、「クリエイティブ部分の発揮の加速」と言うべきですし、捉えるべきなのです。
私の実際の経験に照らしてみると。。。
ディシジョンラボで、企業のミドルの人達を手伝っていると、マックジョブに追いやられ、自動怒りマシーン(上層部)に痛めつけられている方々の、本来「クリエイティブジョブ型人材」としての悲憤慷慨を、DDD(Drink,Dinner & Discussion:愚痴の吐き出しも含めたアルコール入りの建設的な意見交換の場)の場面も含めて、よく耳にします。
この人達は実際にディシジョンラボを通じて、普段押し込められていたクリエイティビティをいかんなく発揮し、素晴らしい提言に繋げて行っています。
なので、私は「クリエイティブ部分の解き放ちも発揮の加速」も、やり方さえ工夫すれば、十分に可能だとみています。というか、可能に決まってる、と思うのです。
では、「自動怒りマシーン体制」のもとで、大半の社員がクリエイティブ部分の発揮のチャンスを奮われている状況をどう打開していくか?私は今から述べる2つのアプローチを同時並行に進めて行くのがよいと思います。
①「遺言戦略」の実施
②ディシジョンマネジメントを活用した衆知錬成への取り組み
まず、①の「遺言戦略」ですが、これは、「近々、何らかの理由で(例えば、実家の家業を急に継ぐことになった等で)この会社を去ることになった。その時、これまでは、この会社で生き残るために、波風立てないよう、言うことを控えてきたが、去るに当っては、『うちの会社、ここがヘンだよ。こんなことはやめた方が良い。逆に、こういうことをぜひやった方が、ずっともっといい会社になる!』と、同僚達に言い残したいことを、去る状況になる前に、どんどん言ってしまいましょう!」というものです。(詳しくは、
私の2014年5月4日の記事
をご参照下さい。)
読者の方々は、「実際に辞める場面なら言えるかもしれないけど、そうでない状況では、とてもじゃないけど言えないよ!」と思われるかもしれません。
しかし、そんなことはないと思うのです。まずは、「遺言戦略を実施しよう!」と決心しましょう。一度決心してしまったら、あとはやり方を工夫するだけです。例えば、志を一つにする仲間と語らって何らかの動きや働きかけをしてみる。あるいは、「遺言戦略」を受け入れてくれる、耳を傾けてくれる度量を持っていそうな上層部(直属の上司筋でなくても良いと思います)の人に対する働きかけからはじめてみる、とか、状況に応じた臨機応変なやり方の工夫は可能でしょう。
まずは、自分のまわりや関連する部署/部門の上層部の巻き込みから、少しずつ始めていけば良いでしょう。そこでの実績とノウハウの蓄積をもとに、徐々に適用範囲を広げて行けば、やがては全社的に「自動怒りマシーン体制」から脱却し、より風通しの良い、社員の大半がクリエイティブ部分を存分に発揮する企業体・組織体に進化できるのではないでしょうか。
次に、②の「ディシジョンマネジメント(DM)を活用した衆知錬成への取り組み」ですが、これは、①の遺言戦略が実施できる部門あるいは「遺言戦略に取り組もう」と、そこの部門のトップが決心した組織での取り組みを想定しています。もちろん、あなた自身がそのトップなら、話は早いです!
具体的には、DMを用いた「戦略アジェンダ策定」と「個別戦略課題」への取り組みです。「戦略アジェンダ」というのは、今後5年~10年(場合によってはより長期)を見据えて、ここ1~2年以内に取り組みを着手すべき戦略課題のリストです。
そして、このリストができたら、その中の一つ一つの戦略課題について、それぞれ適正なチームを組成し、上層部とミドルが何回かのワークショップを通じて課題へ取り組み、戦略を策定し、意思決定し、関係者全員のコミットメントをもって実行に取り組んで行くのです。
この一連の作業を通じて、DMの持つ、「“It’s up to us!”の仲間がチームとして、現実の不確実性に対して衆知を練りあげて(=衆知錬成で)立ち向かう」発想を生かした組織スキルとチームを作り上げ、かつ具体的に事業価値増大を達成していくのです。
日産のゴーンさんのケースもそうですが、大半のリバイバルストーリーは、経営トップが変わって、元々いた同じ社員を活用・活性化することで成し遂げられています。通常、こうしたリバイバルストーリーが語られる時は、新たに着任した経営トップの活躍に光が当てられるのですが、私が着目するのは「元々いた、同じ社員の人達が活性化し活躍する」という部分です。
もちろん、新たな時代環境に対応し、また先取りするために現有社員の持っていないスキル/知識を持った人材を外部から採用することは必要です。
しかし、実際には、ほとんど大半の今いる社員のクリエイティビティを存分に発揮させる、それに向けて、マックジョブに追いやっている自動怒りマシーン体制から解放する、ということこそが、ここでの肝なのです。
言ってみれば、今日まで日本人だった人が、いきなり明日からフランス人になることはできないし、そうなる必要もないのと同じで、企業も、これまでのスキル/知識/性格を生かしつつ、新たな要素なり遺伝子を獲得しつつも、自社の良い部分を助長・発揮・加速していって、リバイバル・企業価値増大が出来るわけです。
話が少し大きくなりすぎたかもしれませんが、言いたかったことは、
・社員の大半を「マックジョブ型人材」とみなして、外部導入の人材に「クリエイティブジョブ」を期待するなどという、社員を馬鹿にした経営はやめよう
・社員のクリエイティビティを信じ、その最大限の発揮に向けて、「自動怒りマシーン体制」を打破し、衆知を結集した企業体・組織体に進化させよう
・そこに、「遺言戦略」と「ディシジョンマネジメントを活用した衆知錬成への取り組み」を車の両輪として取り組んで行こう
ということです。
2回にわたる今回のブログ記事が、読者の皆さんの今後の仕事への取り組みの一助になればと、切に願っています!
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