少し前の日経ビジネスに載っていた「メルカリ山田進太郎会長兼CEOの『Go Bold』の生存戦略」という記事を読んで感じたことを書いてみます。 まずは、印象に残ったいくつかのフレーズを挙げてみます。 (太字の文章が記事からの抜粋、「⇒」以下の文章が私のコメントです。) —————— ・・・それでもやはり、テレビCMを打つのは大きな“賭け”でした。「Go Bold」というバリューに従って、迷ったらいつも、大胆な方に賭けてきました。それが結果に繋がってきたからこそ、メルカリは普通の会社と比べて速いスピードで成長できたのだろうと思います。 ⇒私自身もこれまでの人生で、迷ったら進む、つまり「ワクワクしてやってみたいが、うまくいかなかったらリスクがある…うーん、どうしよう」という場合には、ワクワクする方を選んできました。そうはいっても、私の場合は山田氏のような事業家と違い、自分が許容できると思えるリスクはずっと小さいので、その範囲の選択ということはありますが…。 しかし、許容リスクの大きさには違いがあっても、山田氏の場合も、必ずリスクとリターンの関係は考慮しているはずで、それが「迷ったら」という言葉に現れています。万が一この記事を読んだビジネスマンが、「迷ったら。。。⇒リスクを常に考えた上での選択」という部分を見落として、単に「Go Boldがいいんだ!」と勘違いしないことを祈っています。 —————— メルカリでは、しっかり社員がバリューに従って行動するような仕組みも取り入れています。その一つが、新卒・中途入社の採用基準です。例えば、あるエンジニアを採用しようとした場合「過去にどんな挑戦をしてきたか」を聞くようにしています。挑戦の結果が成功か失敗かは問題ではありません。「Go Bold」というバリューに沿っているかどうかがポイントです。もしそこが不足しているのであれば、たとえ高度な専門スキルを持つ「Be Professional」な人材であっても、採用しないかもしれません。 …ただし、失敗の原因を客観的に分析し、次回は失敗しないように対策を講じることも重要。それができる人こそ“Professional”というものでしょう。 ⇒なるほどですね。余計なお世話だと思いますが、私からすると、「Go Bold」の意思決定をする際にも事前シミュレーションをしっかりやり、何が不成功の原因となりうるかを認識しておく。それによって不成功になったことからの学びや、次への対策も充実してくると思います。。。私は「失敗」という言葉をできるだけ使わない主義ですので、あえて「失敗」ではなく「不成功」と記しました。 —————— まず基本的な考え方として、誰でも皆、モチベーションを一番感じられる仕事をしたほうがいいと僕は思っています。こう言うと、多くの人は「そんなの当たり前じゃないか」と思われるかもしれません。でも、当社のような知識産業にとってはまさに死活問題。その人のモチベーションが高いか低いかで、アウトプットの良しあしが大きく変わってくるからです。 ⇒まさにその通りだと思います! —————— では、メルカリに入社して何年かたち、その人が「そろそろ違う仕事がしたい」と思うようになったら、どうするか。新しい希望に合致した仕事もメルカリ社内で提供できるのであれば、ぜひ当社に残って活躍してもらいたい。でも、メルカリでは絶対に提供できないような仕事だったとすれば、無理に引き留めるのも酷だと思っています。 今までの経験から言うと、社内にやりたい仕事がない人をあの手この手で囲い込んだとしても、長続きしません。 人は、やりたい仕事ができている状態が一番モチベーションが高く、楽しくいられるはずです。そうした機会を用意し続けられる会社にすることは経営の仕事そのもの。どの社員にも良い機会を提供するのがベストですし、常にそうありたいと思っています。 ⇒Linked-inの創業者のリード・ホフマン氏と同じ発想ですが、企業と社員の関係は原理原則こうあるべきだと思います。こういうポジティブ かつ ある種サラッとしたWinWin関係であれば、本来、ブラック職場になど、なるはずがないですよね。 —————— ここからは少し強引ですが、最近の私のテーマである「経営会議を何とかしよう!」に繋げた話をしてみたいと思います。 山田氏が、とりわけ知的産業においてはモチベーションを感じられる仕事が重要、と言っていますが、日本の多くの企業で社員のモチベーションを低下させ知的生産性向上を妨げているのは、以下の衆知雲散のメカニズムの存在であると考えています。 1.弱い個病 2.衆知破壊病 3.意味不明病 4.積み上がらない病 私は、これら4つの症状を次の4つのステップで衆知錬成に持って行くことを提唱しています。 1.独力・力強化 2.衆知活性化 3.衆知実体化 4.衆知構造化 そして最近特に思うのは、1つの会社/組織の中で、衆知雲散になっているか、それとも衆知錬成ができているかが如実に見えるのが、経営会議の場でのディスカッションなのではないか、ということです。 メルカリの経営会議を見聞きする機会は、残念ながら無いのですが、もし山田氏の上記の言葉とその精神が、メルカリという会社組織の中で、実体的に活きているのなら、そこでは衆知錬成が実現されているのだろうと想像します。 日本や世界のすべての企業や組織がそういう状況になることが私の究極の願いですが、これからも少しでもその方向に世の中が動いていくことに貢献して行きたいと思っています。
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