イノベーション提案における意思決定のデフォルトは「Go!」、結果想定のデフォルトは「不成功」とすべし! |
色々な企業のイノベーション提案(新規事業、研究開発、ビジネスモデル変革等)の意思決定の場面を見てきました。 ある時には、こうした場面でのフラストレーションが高じて、思わず経営陣に対して「皆さんは、この『もしかすると会社の将来を大きく左右する可能性のある提案』を、今回の宙ぶらりんな対応によってその芽を摘んでしまうかもしれない、大きな転換局面にいる、という歴史的認識と自覚をもっておられますか?!」と叫んでしまったことがあります。(もちろん、その時の声のトーンは極力抑えましたし、元来平和主義の人間なのでめったにこういうことは言わないのですが。。。) さらに問題なのは、こうした「生あたたかい/非生産的な」やりとりが、研修プログラムの一環であるディシジョンラボの場面だけなら—百歩譲って—まだしも、実際の社内のイノベーション提案の意思決定の場面で繰り返し行われているということです。 私が自分の目と耳で経験するのは主としてディシジョンラボの場面なのですが、ディシジョンラボ受講生の方々から、そうした残念な状況が彼らの属する組織や企業で実際に日常起こっているとお聞きします。私自身も相対的に数は少ないながらも、実際に立ち会った、ディシジョンラボではないイノベーション提案の意思決定場面で、何度か見ています。
たとえば1つのイノベーションテーマの成功確率を0.3とすると、0.7の確率となる不成功シナリオの方がメインシナリオですから、デフォルトは「不成功」となります。 しかし、例えば同じくらいの成功確率のイノベーションテーマが5つあったとすると、その5つの全てが不成功に終る確率は(0.7)5=0.168となり、どれか1つでも成功する確率は1ー0.168=0.832、即ち83.2%となります。従って、5つの低成功確率のイノベーションを手がければ、どれか1つでも成功する83.2%がメインシナリオとなります。(10テーマあれば、この確率は、97.2%になります。)その成功したテーマが残りの不成功テーマでの損失を十分に補ってあまりある事業性をもつものでありさえすればよいのです。 ぜひ皆さんの組織や企業でも、すべての会議室の壁に[イノベーション提案の意思決定は、デフォルト=「Go!」、結果想定のデフォルト=「不成功」]というフレーズを貼っておき、イノベーションに具体的に積極的に取り組み、また残念ながら必然的に発生する「不成功」から学ぶ、企業としての姿勢を強めて行って頂きたいと切に願っています。 その意味で、「不成功」は今後の成功のための学びであり、「未成功」と捉えるべきだと思っています。
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