ディシジョンラボ最終発表会より(2009年10月) |
先日、あるクライアント企業のディシジョンラボ研修プログラムの最終発表会がありました。「立場の異なる協働作業者」の精神にのっとった大変建設的なディスカッションが行われ、私としてもとても嬉しい一日でした
その時感じたいくつかのポイントを、事務局の方にお願いして、後日受講生の方々にメールでお伝えしたのですが、このブログの読者の方々にも参考になるのではないかと思い、以下(機密事項の関係などで)少しだけ修正した上でご紹介します。
**********************************************************ディシジョンラボ研修プログラム受講生の皆様へ、(籠屋より)
先日の最終発表会、そして数か月にわたるプログラムへの取り組み、本当にお疲れさまでした。
発表会では、トップの方々と皆さんとの間で、「立場の異なる協働作業者」の精神にのっとった、たいへん建設的な議論ができたと喜んでいます。
皆さんからすると、指摘・助言されて謙虚に前向きに活用しようととらえたポイントや、今ひとつ自分たちの意図や思いが伝えきれなくて残念、など色々あったかと思います。
今後各テーマへの取り組みが進むよう、ぜひ前向きに最終発表会での指摘・助言を生かすとともに、今回の研修プログラム全体での学びや経験を自らのマネジメントスキルの持続的向上に生かして行って頂きたいと願っています。
それに関連し、以下に、最終発表会で私が感じたことをご参考までにまとめてみました。
①顧客へのValue Propositionの基本を大切に!:
これについては、最初の講義やプログラムの中でのお手伝いで、ずいぶんしつこく言ってきたつもりでしたが、やはり、さらにもう一歩、その深化が必要だったなと、最終発表会でのやり取りを通じて感じました。
直接、顕在&潜在顧客にインタビューする、それによって、トップの方々がそれまで知らなかった、地に足のついた確証・確信によって提言内容の確度を高めたり、不確実性についての「インテリジェントえいや~」のインテリジェント度を高める、という方向です。
またこうして得られた生の声をベースに、B2B(=ビジネス顧客向け)ビジネスの場合には、顧客へのValue Propositionを、ぜひ「顧客へのNPV(=Net Present Value:キャッシュフローの正味現在価値)」という形で、あらあらにでも定量的に試算してみて下さい。「顧客へのNPV」の Waterfall Chart や Tornado Chart 等から、戦略の改善に向けた様々な洞察が得られるはずです。
②従来の制約条件に縛られすぎないように!:
提言内容の実現可能性という観点から、今回私からは、あまり強く「従来の制約条件に縛られすぎないように!」という問いかけ・投げかけをしなかったかなという思いが、私自身の反省を込めて、あります。
ある意味、組織におけるトップに求められる重要な付加価値の一つは、「部下の人たちが思っている、従来の事業環境の中で形作られた『制約条件・常識』の中で、今現在から将来に向けた事業環境変化によって現われてきた『崩すべきもの・取り払うべきもの・変えるべきもの』を提示すること」ですので、今後の仕事の中で、こうした視点での取り組みも視野に入れて行って頂ければと思います。
また私としては、次回からのディシジョンラボ・プログラムで、この点に留意しつつお手伝いをして行こうと考えています。
③最初に明確な「顧客とValue Proposition」をもった戦略構想がないと、大変苦労する!:
ディシジョンラボ研修プログラムで取り上げるテーマは、初めから「わくわくドキドキ」する戦略構想が明らかなものばかりではありません。「そんなものはまだ見えてはいないけれど、何とかしなくちゃ!なんかあるはず!今はなくても、検討の中でなんとか見出す必要がある!」という、どちらかというと「はらはらドキドキ」タイプの問題意識でテーマ設定をせざるをえない、というテーマがあるのは事実です。
従って、最初に明確な「顧客とValue Proposition」をもった戦略構想がないながらも、そうしたテーマにあえて果敢に取り組むことは、ある意味しょうがなく、同時にたいへん尊いことです。しかしその際、この状況でのテーマ検討の大変さは覚悟しておく必要があります。この点を身にしみて感じたチームもあったと思います。
今後に向けての心構えとしては、できれば日ごろからのアンテナ張り、顧客との(今の直接の仕事の範囲に限定されない)少し幅広いやり取りの中で継続的に拾っていく努力、また部下や同僚さらに上司にもその一翼を担ってもらうようチームでの取り組みに向けた意識づけ、などを、とくに心がけて行って頂ければと思います。
できれば、そうした活動の中から出てきた、【「顧客とValue Proposition」が明確な、この戦略構想を具体化すべし】、というようなテーマを、ディシジョンラボ研修プログラムの、次回やその次のウェーブのテーマに取り上げるよう、このプログラムの後輩参加者やトップ層また事務局などに提案、示唆して頂けるとありがたいです。
以上3点、今回の気付きを記してみましたので、参考にして頂ければ幸いです。
最後になりますが、それぞれ困難なテーマに取り組み、通常の仕事の忙しい合間を縫って積極的に検討を進め、たいへんな苦労をしつつもなんとか提言まで漕ぎつけた皆さんの頑張りに、あらためて敬意を表したいと思います。
また今回のプログラムを通じて皆さんとお近づきになれたことをきっかけとして、今後もお付き合いをさせて頂ければと願っていますので、今後ともよろしくお願いします。
まずはともあれ、お疲れさまでした!
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