先のブログエントリーで紹介した、 A社での「戦略アジェンダ共有ワークショップ」に関連して気づいたことを一つ、追加です。具体的には「抜本改革/危機」時の戦略アジェンダと、「巡航速度の経営」時の戦略アジェンダの違いです。 昨年のリーマンショック以降、ほとんどの業界で大きく企業業績が悪化し、抜本改革が必要とされていない企業の方がまれだと思います。A社もそうした企業の一つなのですが、その反映として、今回出てきた戦略アジェンダの各課題が、かなり大きめのものになっています。たとえば一つのビジネスユニット丸ごとをどうするかとか、企業全体を支える重要機能をどう改善・改革するか、といったテーマ設定です。 もちろん、それぞれの課題に取り組む上での、解のアイデア・仮説も含めた戦略着眼ポイントは豊富に付加されているのですが、互いに矛盾することもある複数の戦略着眼ポイントを踏まえた上での抜本的取り組みが求められる、といったタイプの戦略課題、ということです。 一昨年までの、多くの企業が比較的「巡航速度の経営」の時に、私がサポートして行った戦略アジェンダ・ワークショップで出てきたのは、テーマの「大きさ感」としては、今回のA社で出てきた戦略課題における一つの着眼ポイントが一つのテーマ、というくらいの規模感の違いがあるように思います。 考えてみると、こうした「巡航速度の経営」時の戦略課題と「抜本改革/危機」時の戦略課題の「大きさ」感の違いは当然なのかもしれません。たとえば、2000年に日産にゴーンさんがきて「日産リバイバル」をやった時に設定した9つのCFT(Cross Functional Team)のテーマは、「事業の発展」「購買」「製造/物流」「研究開発」「マーケティング・販売」「一般管理費」「財務コスト」「車種削減」「組織と意思決定プロセス」といった極めて大ぐくりのものでした。。。当然そこに様々な戦略着眼ポイントが付加されて議論や検討が行われたはずですが、テーマ設定の枠組み自体はかなり「大きい」ものだったのです。 その後日産が危機的状況を乗り切り、リバイバルを成し遂げた後からは、年間100テーマ以上の、小ぶりのCFT活動が行われるようになったとのことですので、やはり「巡航速度の経営」時のテーマは、「抜本改革/危機」時のテーマに比べて小型になる傾向がある、ということだと思います。 以上、「戦略アジェンダ共有ワークショップ」についての追記をしてみましたが、皆さんの属する企業や組織での経験や感想をフィードバック頂けるとありがたいです。
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