前回のブログと共通する「日本社会においては、企業・組織成員の知的能力や活力を、そのポテンシャルのごくわずかしか活用できていないのではないか」という問題意識からのブログ記事です。「ユニコーン5年で100社に 経団連、スタートアップ庁提案」、「社員の働きがい 役員賞与に反映 〇〇社等」…それぞれ、今年3月そして7月の新聞記事のタイトルです。(一応念の為、記事の中の具体的会社名は「〇〇社」としておきます。)これらを見て、皆さんどんなことを感じられたでしょうか?私が感じたのは「あいもかわらぬ『自動怒りマシーン的経営』か。本当に『なんだかなぁ…』」というものです。私から見ると、イノベーション促進のためのスタートアップであれ働きがいであれ、何か課題認識をもったら必達数値目標を設定し、達成状況を計測し、主としてお金のインセンティブを付与し、あとは尻をたたいて達成させようとするだけ。「心と血の通わない管理型経営」だと思うのです。こうした外形中心の管理は、目標達成の中身にほとんど関与せず、達成できたらほめ、達成できなければ叱る、そこには実現方法の中身についての具体的助言もなく、具体的なやり取りを通じた目標設定の質と量の柔軟な変更もない、という意味で私は「自動怒りマシーン」と呼んでいます。(関連ブログ記事を前に書きましたので、興味のある方はここをクリックしてみて下さい⇒[「自動怒りマシーン体制」を打破し、社員が創造力を発揮しながら、衆知錬成ができる経営を目指そう!(1)])こういうやり方は、高度成長期のように、「トップが目標設定さえすれば、それをどう実現したら良いかは部下の人達が比較的容易に見い出すことができ、あとは尻をたたけば皆が頑張って目標達成ができる」という時代には、ある程度有効だったでしょう。(ただし、当時の経営の当事者からすれば、「自分達はそんな安易な管理型経営なんてやってなかったよ。ちゃんと中身にまで踏み込んで腕まくりの経営をやっていたんだよ!『自動怒りマシーン』経営は、君ら後輩が、我々が達成したことにタダ乗りしてサボったあげくの状況だよ!」と言うでしょうが…)しかし、今や組織や企業の取り組む課題のほとんどにおいて、目標をどうやって達成するかの中身がほぼ見えている、なんてことは皆無でしょう。「ユニコーン5年で100社」「社員の働きがい(エンゲージメント)改善」、いったいどうやってやるんですか?「数値目標設定、業績評価、それと連動したインセンティブ設定」だけで自分達の仕事は終わり、なんて正気ですか?、と突っ込みたくなります。こういう目標設定をする経営側の人達だって、もし自分が上司から「君ら、この目標達成よろしくね。できたらインセンティブあげるけど、できなかったら、ワカルヨネ!」と半ば恫喝的に言われる立場にあったとしたら、「具体的にどうやるのか、ある程度以上考えてから指示をし、実行段階では当事者の一人として、腕まくりで協働作業者として、本気でかかわって下さいよ!」と言いたくなるはずです。これまでの自動怒りマシーン的なやり方での行きづまりが、「ユニコーン極小状況」「社員のエンゲージメント不足、世界トップレベル」なのですから、今こそ「自助怒りマシーン経営」から脱却し、様々な人達の多様性を生かした自由な創造性や想像力を活用する経営が求められているのです。インセンティブ設定と、これもよくある「目標達成の為の新組織(スタートアップ庁のような)設立」なんていう高度成長時代の外形的アプローチを、この期に及んで持ち出すなど時代錯誤もいいところでしょう。今こそ、中身に踏み込んだ、社員・組織成員の創造力・想像力を解き放つアプローチに転換する時なのです。以上、感情のおもむくまま書き連ねましたが、ひょっとすると経団連も〇〇社もちゃんと中身に踏み込んだ実体があるのに、マスコミ記者の理解不足・時代錯誤認識で、自動怒りマシーン経営的目線での記事タイトルにしたのかもしれません。そうであることを願うばかりですが、最後に、経団連や〇〇社の用意したであろう(と願う)ちゃんとした中身に、私の提案を一つ付け加えさせてもらいたいと思います。私の提案は、前のブログ記事で書いた「本気の突込みファシリテーターによる建設的なワークショップ」です。経団連や〇〇社なら「AI突込みアバター」やそれを使ったシステム提供も十分可能でしょうから。すぐにも取り組んで頂くことを強く願っています。
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