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ディシジョンラボ最終発表会より。。。建設的ワークショップのさらなる進化を目指して

カテゴリー: 仕事関連 2010 年 3 月 15 日 コメント(0)

先々週末に、あるクライアントでのディシジョンラボの最終発表会がありました。基本的にどのクライアントの場合でも、最終発表会の冒頭では、私からオーディエンスの方々に対して、「『立場の異なる協働作業者』間での建設的ワークショップの精神でお願いします」とお願いするのですが、先週末のセッションでは、「建設的ワークショップのさらなる進化」という意味での気づきがありましたので、このブログ記事に書いてみたいと思います。

このクライアント（A社としておきます）でのディシジョンラボは、課長レベル受講者対象のものと、部長レベル受講者のものの2階層で、もう6年以上継続してお手伝いしており、今回は課長レベルの方々のディシジョンラボの発表会でした。

発表相手のオーディエンスには、このディシジョンラボプログラムのスポンサーである経営戦略担当の経営幹部の方に加え、今回発表する3テーマが実行に移される際には事業責任者レベルでかかわってくると想定される方々に来ていただいたのですが、事業責任者レベルの方々が、これまでの回次の部長層対象のディシジョンラボの卒業生だったこともあり、とても真剣かつ建設的なディスカッションが繰り広げられました。

主な指摘・助言事項としては。。。

○ビジネスにするには当然のことながら、顧客に買ってもらうことが必要で、それには、誰が顧客で何をどう訴求できるかの強化をすることが必須。今回の提案は、そこのところが、今一歩突っ込み不足

○競合がどう出てくるか、彼らにどう勝つか、どう差別化するか、もっとちゃんと考えてほしい

○事業性評価のところの数字の読みが甘すぎる。自分たちの考えた戦略構想への思い入れが強すぎないか？

・・・・・

これらの視点については、提言を作り上げる過程で、私の方からも提言内容を補強するよう助言してきており、「それなりレベル」よりずっと高い到達レベルに達していたのですが、オーディエンス側からはさらに突っ込んだ具体的な指摘・助言がなされ、密度の濃い実質的かつ建設的な議論が展開しました。そして結論的には、どの提案も、それぞれの受講生達と事業責任者レベルの方々で、引き続き実現に向けて積極的に動いて行こう、ということになりました。

その意味ではとてもHappyな最終発表会だったのですが、私としては、オーディエンスの方々の発言のトーンが少し気になり、そこが一種「画竜点睛を欠く」感として残りました。具体的には、各オーディエンスが発言する際、とくに事業責任者レベルの方々の、ご自身がかかわるテーマについての最初の発言が、一様に「ダメ出し」的ニュアンスで始まったことです。

私としては、3テーマとも、かなりの完成度の提言だと感じていたので、拍手喝采とは行かないまでも、もう少しポジティブなトーンから始まって、その上で、ここをもう少し強化する必要がある云々、というトーンになってしかるべきではないか、という思いを持ったわけです。

さて実は、ここからが今日のブログ記事の核心部分なのですが、発表会の帰りのタクシーで、過去のディシジョンラボの卒業生でもある事業責任者レベルのオーディエンスの方（Bさんとしておきます）とご一緒になり、その方のお話を聞いていて、先ほどの私のちょっとした不満感が、「建設的ワークショップのさらなる改善」およびそこに向けた私自身の反省、という形に変わりました。

Bさん曰く：「2年前のことを思い出すと、受講生として提言を作り上げて行く時には、自分たちの事業構想に熱い思いを持ち、信じ込んでいましたが、最終発表会でトップの方々から『顧客の視点、なぜ彼らが我が社の製品・サービスを喜んで買ってくれるのか、そこのところが希望的観測にすぎるのではないか？！』との指摘を受けました。今日、事業責任者として受講生からの提言を聞く立場に立ってみると、自分も2年前にその立場だったこともあり思いは理解はできるのですが、やはり検討不足・突っ込み不足のところを、どんどん指摘せざるを得ませんでした。。。」

多分Bさんは、私の上記の「微妙な不満感」を察知していたのかと推察しているのですが、この言葉を聞き、またその後一人になって考えた際の私の反省を、以下に記してみたいと思います。

 

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私の反省と今後への改善方向：　ディシジョンラボでのお手伝いは、大半の時間を受講生の人達と過ごすため、最終発表会での自分の気持ちの「Empathy（共感・感情移入）対象」が、無意識のうちに、どうしても受講生側に偏りがちになっていることに気付きました。

しかし、良く考えれば当然ですが、最終発表会の場に私が参加している理由は、受講生側からの提言をたたき台として、オーディエンス側と受講生側が建設的議論を行い、それを通じてA社にとってよりよいアクションにつなげることをサポートすることです。従って、私がEmpathyを持つべき対象は、受講生側とオーディエンス側の双方なのです。

もし事業責任者のオーディエンスに対しても、もっとEmpathyをもっていれば、その人達が事業責任者として意思決定する立場からくる心配や、検討の甘さに対する突っ込みにも、不満感を持つことなく聞くことができ、従って、その場で、建設的議論のレベルをさらに上げる方向での、よりよいサポートができたのではないかと思います。

実際のサポートの現場では、人情としてどうしても受講生側へのEmpathyの方が大きくなり、両者に等分にとはいかないと思いますが、できるだけ次回からは、受講生側に加え、オーディエンス・ディシジョンボード側をも「Empathy対象」として、発表会の場に臨もうと心に決めた次第です。

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。。。。。以上の「私の反省と今後への改善方向」に加え、読者のみなさんが、今後、ディシジョンラボに限らず社内の様々な提案に携わる際に、①提案者側になった際、そして、②提案を聞く側（=意思決定者サイド）になった際、の参考として、「立場の異なる協働作業者」として「さらなる建設的ワークワークショップへの進化」を行う際のヒント・提案を書いてみたいと思います。

①提案者側としての改善ポイント：

○上記にあるような「顧客視点」、「競合視点」、「事業性測定における、数値の読みのインテリジェント度の視点」といったポイントを常に念頭に提案を作り上げる

○その上で、建設的ワークショップの場で、意思決定者側からの質問や指摘に対して、相手目線・立場に立ってその論点をとらえ咀嚼したうえで、答えたり逆提案をしたりするよう、心がける

○せいぜいマックス30分のプレゼンテーションでは、実は自分たちが考えたり検討した内容、すなわち「顧客視点」、「競合視点」、「事業性測定における、数値の読みのインテリジェント度の視点」等の検討の中身自体が、十分にオーディエンス側に伝わっていない可能性がある、と想定しておく。。。いかに優秀なオーディエンスでも、数カ月かけて検討した内容を、詳しい意図や詳細までマックス30分で、提案者側と同じレベルまで理解するのは、私のこれまでの観察結果から判断すると、ほぼ不可能と思われるからです

○以上を踏まえ、実際の質疑応答においては、オーディエンスからのフィードバックに対して、まずは十分わかってもらえるようにわかりやすく追加説明をし、その上で、次にオーディエンスの提示した追加論点やアイデアに対する議論に進んでいくようにする

 

③提案を聞く側（=意思決定者サイド）としての改善ポイント：

○「厳しく真剣な議論」ということに加え、できるだけポジティブなトーンで議論を始める。。。戦略提案の場合、提案者側は、ほとんどの場合、優秀さと意欲において、自分の部下の中の、トップせいぜい20～30%内の人達であると想定されます。その人達が数カ月かけて一生懸命やってきたものが、箸にも棒にもかからないほど低レベルということは、まず考えられないわけですから、その検討努力に敬意を表する意味において、ポジティブ・トーンで始めることに大きな問題はないはずです。

○ネガティブなトーンで議論することによって、その人達が、やる気をなくしたり、白けたりしたらもとも子もないからです。ましてこういう時代になると、やる気があり優秀な人材は、社外でも十分以上に通用する人材でもありますので、優秀人材確保の視点からも、ポジティブ・トーンは大事だと思います。

○もちろん私が言っているのは、あくまでトーンだけの話で、真剣な議論の場において、フィードバックの内容そのものが的確かつ厳しいのは当然です。逆にいえば、やる気があり優秀な部下の人達は、的確かつ厳しいフィードバックとそれに基づく建設的なワークショップをこそ、（そして、そこで少しだけポジティブ・トーンを増した議論を）望んでいるのです。

 

以上、また少し長くなってしまいましたが、今後のディシジョンラボ最終発表会では、今回決心したように、「受講生側とオーディエンス・ディシジョンボード側の双方を『Empathy対象』」として、発表会の場に臨もうと思います。

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