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マーケティングスキル強化の重要性。。。顧客へのValue Proposition発想のベースとして

カテゴリー: 仕事関連 2009 年 6 月 24 日 コメント(0)

つい最近始まった、ある素材系メーカー（「A社」としておきましょう）の技術者向けディシジョンラボの現場からのトピックです。「技術のわかる経営者」、「経営のわかる技術者」育成に向け、この企業の「MOT（Management of Technology）研修」の一環として、これまで5年間にわたってディシジョンラボの形でお手伝いしているのですが、毎年毎年クライアントと一緒に工夫と改善を重ねながら進めてきています。

今年は、マーケティング素養のさらなる強化を狙い、私の信頼する友人でもあるマーケティングの講師とのコラボレーションのセッションを、Phase1（方法論の学習）とPhase2（実課題への取組み）に一回づつ、計2回実施することとし、その一回目のセッションが先週でした。

ディシジョンラボのPhase2での実課題への取組みの初期段階においては、顧客や現場での一次情報・生の声を聞きくことも含めたビジネスアナリシスを通じて、顧客へのValue Proposition（価値訴求ポイント）の明確な戦略構想を作り出すことが重要です。それをベースにディシジョンマネジメントの方法論を活用して、フレーミング、経営資源配分の意味合いの明確な複数の選択肢の設定、不確実性のもとでの定量的リスクリターン分析と進めて行って、創造的かつ実行可能な提言を作り上げるわけですから、まずは初期段階の戦略構想の質が問われることになります。

この認識のもと、A社のディシジョンラボ・プログラムでは、マーケティングスキルの素養がもともと弱い技術者が受講生の大半を占めるため、これまでもPhase1にマーケティングの講師による講義・演習を入れていたのですが、今回はさらなる強化を目指して、Phase1、Phase2それぞれに、マーケティングの講師とのコラボレーション・セッションを入れて、この点を補強することにしたものです。

先週実施した一回目のコラボレーション・セッションは、マーケティングの講師が行う講義・演習のセッションをオブザーブしつつ私から受講生に対して、次の意思決定思考・ディシジョンマネジメントの部分との関係性を補足しつつ、同時に、今回集まった受講生達のマーケティングの素養やさらに遡ってそのそものビジネスセンスのレベルについて理解することで、この後のPhase2での支援をより的確に行うためのヒントを得ることを狙いました。

このコラボレーション・セッションの中で感じたことを、セッション後の懇親会で、私からの「気づき」として受講生の方々に伝えたのですが、読者の中でこれから技術者向けのマネジメントスキル向上に取り組もうとする方々の参考になればという観点から、A社の受講生に伝えた内容を少し補強した形でお伝えしたいと思います。

①自分が行っている技術開発の活動は、顧客に対する価値提供につながっているべきこと、したがって常に、「誰が顧客で、何が自社から顧客へのValue Proposition（価値訴求ポイント）か」を意識するようにして頂きたい。すぐれた技術者としての力に加え、今後は経営者・事業家の意識を持つように常日頃から心がけてほしい。。。とくに今日のセッションを振り返ると、今現在の、この観点での皆さんのメンタリティとそれを支えるマーケティングの素養は、私が最初に想定していた以上に「今後の改善余地が大きい」ので、このことを強く認識してください。

②顧客へのValue Propositionをしっかり認識しマーケティング素養を強化する上で、今回学んだマーケティングのフレームワークや基本コンセプトを十二分に生かし、「顧客や現場の一次情報・生情報」を食らいつく気持ちとアクションで入手し、それをもとに、世の中をひれ伏させるような「わくわくどきどき」するような戦略構想を着想し、練り上げてほしい。。。このフェーズでは、不確実性とかリスクリターンをきちんと考えるメンタリティは、しばらく棚上げしてでも、「この事業構想・戦略構想で世の中を変えるんだ」というメンタリティで取り組むことが大事です。

③そのうえで次のフェーズにおいて、現実には「それだけで世の中をひれ伏させ、不確実性やリスクなどなぎ倒す」ようなすごい戦略構想は残念ながらそうそうは出てこないので、そこでディシジョンマネジメントの方法論を活用して実務的・現実的な具体的戦略に落とし込む、という2段構えで取り組んで行って頂きたい。。。その段階で、複数の、経営資源配分の意味合いの明確な選択肢の設定、不確実性を踏まえたリスクリターン分析などが生きてくるわけです。

④「Best Effort（最善の努力）を！」。。。普段不慣れな分野での取り組みなので大変だと思いますが、いつもの限界を超えるべく、ただし体や心を壊したりしない範囲の中で一生懸命頑張って下さい。皆さん一人一人の経営者・事業家としての実力向上とその発揮度が5%改善するだけで、20人の受講生全体では1.05の20乗で約2.7倍、さらに皆さん一人ひとりの影響力やリーダーシップで社内の10倍の人数の人たちに波及すれば、1.05の200乗=約17000倍という、とてつもないインパクトが期待できます！

⑤今回のディシジョンラボを通じて学ぶことは、これからPhase2でチームで取り組むテーマだけでなく、自分の今現在の仕事にも活用して頂きたい。さらに会社の仕事だけでなく、個人のプライベートな課題への取り組みにも活用できますから、その面でもどんどん活用してほしい！

以上、少しでも読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。

 

注）私が様々な企業でディシジョンラボのお手伝いをする際には、多くの場合、それ以前に、戦略的マーケティングや財務などについての基礎知識やある程度の経験をもっている受講生を対象とします。つまり、「事業家思考」の前半部分の「起業家思考-戦略思考」の素養をある程度身につけている受講生に対し、後半部分の「経営者思考-意思決定思考」を強化すべく、ディシジョンラボのPhase1でディシジョンマネジメントの知識インプットを行い、その上でPhase2で両者を総合した「事業家思考」を鍛えるわけです。そして、必ずしもその前提を満たさない場合には、マーケティングを中心に他の専門家を講師としたセッションをPhase1の前段に入れるのですが、A社の場合は、今年のプログラム改善の一環として、この部分の要素をさらに強化したわけです。

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