前回の「若者自立塾」を題材として【5】までで、《①事業構想と論点洗い出し、②フレーミングと選択肢の設定、③分析・評価と結果の共有化、④意思決定と実行の指示》という4つの検討ステップの基本的考え方について述べました。 今回の「若者自立塾」を題材として【6】 では、②の「フレーミングと選択肢の設定」のディシジョンボード・ミーティング(DBM2)に向けてプロジェクトチームが作りつつある、「若者自立塾」に関する検討のたたき台資料(のトライアル版)を示したいと思います。 もちろん大前提として、①の「事業構想と論点洗い出し」のDBM1で建設的ディスカッションが行われ、さらにそれを視聴した国民から、メールなどで寄せられた追加の論点やアイデアを踏まえて、プロジェクトチームがこれらのたたき台作りを行った、という想定です。。。ただし、このたたき台のトライアル版においては、私がビデオと配布資料、仕分け結果資料の中から拾い上げた論点をベースに作っていますので、その出来具合・完成度については限界がありますので、あらかじめご了承ください。 まずは、当初の事業構想である「若者自立塾」/「ニート自立化」に対するフォース・フィールド・ダイアグラムです。これは、この構想に対する「積極推進理由・論点(Forces for)」を紙の左側に、「反対・懸念の理由・論点(Forces against)」を紙の右側に書き出していくものですが、このブログのフォーマットの制約から、まずはForces forを、ついでForces againstを、ざあっと上から順に並べていきます。 なお一応ここでの「事業構想」は、主管省庁である厚生労働省が作成した資料の中から引っ張ってきた、次の文言で表されたものとします。 事業構想: 教育訓練も受けず、就労することもできないニート等の若者の職業的自立を支援するため、合宿形式による集団生活の中での生活訓練、労働体験等を通じて、職業人、社会人として必要な基本的能力の獲得、勤労観の醸成を図るとともに、働くことについての自信と意欲を付与することにより、就労等へ導く。(配布資料p72より) Forces for: ○ ニートの若者が60万人強と高止まりしており、若者を巡る厳しい雇用環境の下、支援の緊急性が一層高まっている ○ 若者自立塾の対象は、ニートのうち、特に基本的生活習慣、働く意欲・自信に関わる課題を有する若者であり、若者自立支援中央センター事業(含む「若サポセン」)での対応では不十分。また民間団体のみでは運営困難な事業である ○これらの若者の多くは、経済的にも困窮し心理的にも課題をかかえ、低学歴・中退者の比率も多く、自力では自立困難 ○ 放置すれば、若者本人の今後の職業生涯全てが損なわれる ○ 将来の社会保障制度の維持、労働力確保、少子化への対応の観点からも重大な問題⇒本事業を通じて無労者を就労に結び付け、納税者とし、また生活保護から脱出等の効果も期待できる ○ 法的にも(平成21年7月「子ども若者育成支援推進法」)、ニートの若者の支援理念がきちんと位置付けられている ○ 若者自立塾卒業後6カ月時点での就労率は6割を越えて推移。さらにこれを70%を目標に取り組んでいく。。。平成20年度後半からの「3か月・6か月並立型プログラム」導入により、より丁寧な支援により、就職率向上を期している ○ 「社会で生きるための大切なことを学び、就職できた。自立塾を作ってもらい感謝している。社会や親に恩返ししたい」等の利用者の声が寄せられている ○ 低所得世帯に対しては、自己負担額を軽減するための予算措置を概算要求に盛り込んでいる。。。米国では、本事業に類似した事業として、自立に向け追加的教育訓練を要する若者を対象とした、全額無料の合宿制の教育訓練プログラム「ジョブコア」を実施し、成果を上げている ○入札を通じた公正な選定プロセスを経て、キャリアコンサルティングのノウハウを持つ日本生産性本部(JPC) に委託している ○ 若者自立支援中央センターの若者自立塾にかかる間接経費を、33百万円から21百万円に縮減、という改善策も盛り込んでいる ⇒ということで、主管官庁サイドとしては精いっぱいこの事業のための予算措置の正当性を主張しています。一方で、かなり辛辣なForeces againstが仕分け人サイドから挙げられているのですが、だいぶ文章が長くなってきたので、このあたりで次回のブログにつなぎます。
スパムが非常に多いため、一時的にコメントは受け付けないように設定しました。コメントを頂ける方は、CONTACT USにある当社のメールアドレスまで直接お寄せ下さい。