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「事業仕分け」を仕分けする。。。「建設的事業ブラッシュアップ・ワークショップ」への進化を願って:「若者自立塾」を題材として【8】

カテゴリー: 勝手にディシジョンマネジメント 2010 年 3 月 21 日 コメント(0)

今回の「若者自立塾」を題材として【8】 では、Force-field DiagramのForeces for、Foreces againstにリストアップされた数多く論点について、一つ一つ丁寧に、Decision（意思決定項目ないし戦略オプション）の意味合い、Uncertainty（不確実要因）の意味合い、Value（価値判断尺度）の意味合いを抽出して行く作業について考えて行きます。

全部の論点についてここに記すのは大変なので、Foreces forから二つ、Foreces againstから一つの論点を取り上げて この「意味合い抽出作業」を実際にやってみて、読者の皆さんにイメージを持ってもらうことにします。

 

まずForeces againstサイドから、次の論点について考えてみましょう。

●トータル事業費3.75億円をかけて、3年間でわずか200人の就職・自立を助けたことになる。。。サポセンの方が、対象人数も圧倒的に多く、自立させた絶対数もずっと多いのではないか？

⇒Decision：

□支援対象者をどうするか：　基本的生活習慣から課題を抱える若者　or　そこまで深刻ではなく働く意欲・自信に課題を抱える程度の若者　or　両方を対象

□取り組む事業をどうするか：　若者自立支援中央センター（サポセン）のみ　or　若者自立塾のみ　or　両方

・・・・・

⇒Uncertaintiy：

□今後支援することになる人数のうち、何%程度の人たちが実際に自立し税金を払う立場の人になるか？

□自立が成功し税金を払う立場になった人たちの、平均的年収ないし払い込む税額はどの程度となるか？

□｢A〈基本的生活習慣から課題を抱える若者〉　vs　B〈そこまで深刻ではなく働く意欲・自信に課題を抱える程度の若者〉｣の比率はどの程度と想定されるか？

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⇒Value：

□ニート状態から税金を払う立場になる人数/割合

□その際、上記のAの若者で自立した人数と、Bの若者で自立した人数は、一人は同じ一人、と数えるのか？それとも、より深刻な状況から自立したBの若者の方が、この事業の効果としては大きい、といった考え方はするのか、しないのか？

□支援をトライした若者一人にかかった税金と、それによって自立した若者が税金を払う立場になることによる、生活保護費その他の社会的費用の軽減への貢献額の比率や絶対額。。。税金というお金の使い方の面での費用対効果

□ニートの若者が自立することにより、将来的に子どもをもうける確率が上がることを通じての、少子高齢化の歯止めへの貢献は、今回の事業の測定尺度にいれるのか、入れないのか？

・・・・・

 

次に、Foreces for側の2つの論点につき、同様のトライをしてみましょう。まず一つ目です：

○ 低所得世帯に対しては、自己負担額を軽減するための予算措置を概算要求に盛り込んでいる。。。米国では、本事業に類似した事業として、自立に向け追加的教育訓練を要する若者を対象とした、全額無料の合宿制の教育訓練プログラム「ジョブコア」を実施し、成果を上げている

⇒Decision：

□若者自立塾に参加する若者への費用軽減をどうするか？：　現行通りの低所得世帯への軽減措置　or　軽減措置はやめる　or　米国のジョブコア同様全て無料とする

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⇒Uncertainty：

□軽減措置をやめた場合、また逆に全額無料とした場合、若者自立塾に入塾する人数はどの程度減るのか、また増えるのか？

□それに伴い、入塾したうえで自立・就労する人数比率は変わるのか？変わらないのか？変わるとしてどの程度変わるのか？

・・・・・

⇒Value：

□もし若者自立塾を全額無料にした場合、サポセンで支援する若者に比べて、一人当たりにかける自立のための税金額にはずいぶん差が出てきてしまう。これって不公平じゃないのか？ 今回対象外となったジョブカフェの若者たちとの比較で考えると、この不公平はもっと広がるのではないか？。。。いやいや、この若者自立塾が対象としているニートの若者たちは、大変気の毒な人たちなんだから、普通の生活習慣をもてている、その意味で恵まれた人たちよりも、国がもっと税金を使って支援するのは当然なんだ。。。⇒いろいろな、ある種哲学的な議論に入り込んでいく感じもします

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Foreces for側の二つ目の論点です：

○入札を通じた公正な選定プロセスを経て、キャリアコンサルティングのノウハウを持つ日本生産性本部（JPC) に委託している

⇒Decision：

□事業主体をどうするか？：　国　or　地方　or　NPO

□委託先：　JPC　or　JPC以外の中立的民間機関（たとえば社団法人XYZ）　or　委託せず自身で行う

□入札プロセスの見直し：　現行方法　or　改善策T　or　改善策S

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⇒Uncertainty：

□事業主体や委託先によって、運営費用はどう変わるか？　また効果としての、入塾したニートの若者の自立・就労率はどう変わるか？

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⇒Value：

□事業全体の年間経費総額

□事業のための総額事業費の中で、直接若者の自立支援に使われる金額の比率。。。中間管理費の割合は小さい方が望ましい、という発想から

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以上、3つの論点について「意味合い抽出作業」をトライしてみました。これらは、一つひとつの論点からDecision/Uncertainty/Valueの意味合い抽出を行うイメージですが、実際には、これに加えて複数の論点を考え併せることによって、さらに追加のDecision/Uncertainty/Valueの意味合い抽出ができ、より、今後の検討に幅と深みを持たせることができます。

なお、こうした作業は、一つ一つ書いて行くと大変そうに見えますが、グループワークで行えば比較的スムーズに作業は進んでいくものです。

こうしてForce-field Diagramの各論点から、また複数の論点から重層的に、Decision/Uncertainty/Valueの意味合いを抽出して行った上で、それらを活用して、ディシジョンマネジメントの次のいくつかのツールを適用して行くのですが、ここから先の作業については、次回のブログ記事でさらに考えて行くことにしましょう。

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