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「事業仕分け」を仕分けする。。。「建設的事業ブラッシュアップ・ワークショップ」への進化を願って:「若者自立塾」を題材として【10】

カテゴリー: 勝手にディシジョンマネジメント 2010 年 3 月 24 日 コメント(0)

今回の「若者自立塾」を題材として【10】 では、前回の「ディシジョンヒエラルキー」、「ストラテジーテーブルと複数の戦略テーマの設定」に続き、価値判断尺度のリストアップのところから書きついで行きたいと思います。 。。企業での場合に比べて格段に難しいのですが、トライアルとして次のような項目を考えてみました。

価値判断尺度のリスト（Value Measures)

□自立人数[人/年]：　施策によって、自立・就労できた、（元）ニートの若者の人数。。。ひょっとすると、同じニートの若者でも、基本的生活習慣レベルで問題のある若者を一人自立させることは、より軽度のニートの若者一人を自立させることに比べて、人類愛の上でより尊い、という観点から、数え方を変えるべき、というような論者もいるかもしれません。しかしこのトライアルでは、そこまでややこしくはしないこととしました

□自立化達成・一人当たり投資額[￥/人]：　施策にかかった総費用[￥/年]を、上の「自立人数[人/年]」で割って出てくる数。。。自立化支援対象となった人数ではなく、結果として自立化できた人数をもってくることで、「成果を得るために必要となった投資額」という意味合いの指標としています

□自立化率[%]：　施策により自立した人数[人/年]を、施策の恩恵を受けた（=若者自立塾でいえば、自立塾参加者）人数[人/年]で割って出てくる数

□生涯税金貢献額[￥/年]：　その一年間に自立した各若者が生涯に納入するであろう予想税金総額のトータル分（=自立した若者全員分）　+　（自立しなかったら発生したであろう）生活保護費等の税金支出の予想額

□生涯税金貢献額の投資対効果[￥/￥：倍率]：　上の「生涯税金貢献額[￥/年]」を、その年にかけた施策の総費用[￥/年]で割って出した数。。。「生涯税金貢献額」や「生涯税金貢献額の投資対効果」は、見ようによっては、血も涙もない測定尺度ですが、「税金の使い方としての、事業や選択肢の優先順位付け」という、事業仕分けの主旨からいえば、設定せざるをえない価値判断尺度でしょう

・・・・・

 

 

 

プロジェクトチームは、 先に設定した複数の選択肢を、これらの価値判断尺度に照らして測定・評価し、その結果を一覧表（=「トレードオフ表」： 横軸に選択肢を並べ、縦軸に価値判断尺度を並べて、測定・評価結果を一覧表にしたもの）にまとめて提示し、それをもとにディシジョンボードが、「うーん」と唸って決めることになります。（ちなみに その際、様々な不確実性の動きによる測定・評価結果の振れ幅も提示することになります。）

「うーんと唸って決める」ことになる理由ですが、「どの価値判断尺度に照らしてもこの選択 がベスト」という選択肢が出てくれば問題なく、皆Happyなのですが、そんなことはまれだからです。従って、「あちら立てればこちら立たず」の状況の中で、どの価値判断尺度をより重視するか、という「哲学的な意味での価値観」を問われるのです。

それでも、「ニート対策」という枠組みの中での選択肢間の比較は、共通の価値判断尺度のリストに沿って行えるだけ、まだ楽です。

このあと、数多くの事業についての検討結果を受けて、閣僚レベルのメンバーで行われると想定される、事業ポートフォリオの中での優先順位付けの判断、つまり全体予算枠の問題から、たとえば「ニート対策」という枠組みの中でのベストの選択肢と、「若手芸術家育成」事業の中でのベストな選択肢と、「里山保全」事業の中でのベストな選択肢の中から、たとえば同じ4億円の使い道として、一つしか選べない、という状況では、異なる価値判断尺度のリストに照らして、まさに極めて「哲学的な意味での価値観」を問われることになるからです。。。こうした優先順位付けの判断はかなりの難問ですが、まずは個別の事業についての検討の質の向上が始まらなければ話になりませんので、今回はこの難問への取り組みには深入りしないこととします。

 

以上、数回にわたって、ディシジョンマネジメントを活用した DBM2へのたたき台（のトライアル版）を紹介してきましたが、次回のブログでは、ここまでの検討の振り返りや意味合いについて考えてみたいと思います。

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