【未来の可能性を最大化する】ディシジョンマインド社は研修やセミナーを通してみなさんの経営戦略に必要な意思決定力の向上を支援する会社です

「昨年末のディシジョンラボ最終発表会の現場から」の第2弾です。前回の第1弾の記事では、エキスパートチーム、プロセスチームといったミドルマネジメントのプロジェクトチーム側の方々の印象的発言を紹介しましたが、今回の記事では、トップマネジメントのディシジョンボード側の方々の発言に注目して紹介してみたいと思います。

このクライアント（B社としておきます）のディシジョンラボは、選抜型次世代経営者育成の一環として実施されました。きっかけは、B社の社長が数年前に—当時は執行役員の立場でしたが—私が講師をつとめる公開研修に参加され、ディシジョンマネジメントの考え方に共鳴され、それが伏線となって、社長就任後に、このプログラムへの支援を依頼して頂いたものです。

という経緯もあって、12月の最終発表会では、副社長も含めた経営トップ層から「腕まくりの協働作業者」としての—–完成品品評会や難癖づけ、Experienced Commentatorとは無縁の—–、非常に具体的かつ建設的なフィードバック・助言・指示がなされました。ここに、3つほど特に印象に残ったものをご紹介させていただきます。
（読者の方々に本質的意味合いをわかりやすく理解して頂くために、状況などは少し修正してあります。）

1.「顧客のみならず、この事業構想を実現する際に密接に絡んでくるステークホルダーC社に対するValue Proposition（価値訴求ポイント）にも着目してほしい。この提案は顧客に対するValue Propositionについてはよく考えられている。しかしC社にとってのメリットがないと彼らが乗ってこず、結局この構想は絵に描いた餅になってしまう。その点については今時点では危なっかしいと思う。そこを十分に検討・検証し、C社に対するValue Propositionを強化した提言とした上で、来月の〇〇会議に提案してきてもらいたい」

２．「提言自体は、細かいところまできちんとよく検討してくれている。しかし、どうせ提言するなら、もっとポジティブというか、わくわくするものが欲しい。具体的に言うと、今回の検討の枠組みが狭すぎるのではないか？ その枠の中だと、こういう提言になるのだと思うが、たとえば検討の枠を、もう一段大きい□□事業全体でとらえれば、◇◇、△△といったアイデアが出てくるのではないか。そのあたりを、XXX部のYY君たちと一緒に検討して、遅くとも再来月の〇〇会議に提言してもらいたい」

３．「提言自体はこれで良いので、ぜひ進めてもらいたい。ただ、今後の具体的な取り組みについて、少し懸念を持っている。収益性を高めるために「コスト目標」を立てているが、それに加えて「Price目標」も立ててほしい。というのは、これだけ優れた技術と製品であれば、BtoBの顧客であるKKK社にとっての収益貢献も大きいはずで、それを反映した適正な価格を勝ち取るべくKKK社との今後のやり取りを進める必要がある。そのためには、KKK社のさらに先の、KKK社の顧客企業にとっての価値まで考えたり調べたりする必要がある。我が社の中でもSS事業のように、顧客の顧客をがっちりつかむことで、我が社の技術・製品の価値を価格に適正に反映させて高収益事業にしている事例もあるんだから、ぜひ彼らのやり方も学んだ上で、進めてもらいたい。大いに期待している!」

いずれも、私が研修の際に受講生の方々にお伝えしていることと一致した方向での指示・助言です。したがって、この提言に到る前に、既にそれを踏まえて実際の提言を作り上げているはずなのですが、やはりまだ改善余地があった、ということです。

その意味では、私にとって少し反省材料ではあるのですが、「実課題への取り組みにおいて、私のサポートさえあれば完璧な提言を作ることができるなら、ディシジョンボードの出番はなくなる」わけで、こうした建設的かつ実践的な指示・助言をトップマネジメントから直にして頂いたことは大変良かったと—–若干開き直り気味ではありますが—–思っています。。。最終発表会の後の懇親会で、社長からも「よくここまでの提言作りサポートをやって頂きました」という感謝の言葉を頂くことができ、ほっとするとともに大変うれしく思った次第です。

何回か前のブログに「うちの会社のしょうもないこと」の要素の一つに、トップマネジメントの評論家的コメントを挙げておきましたが、B社に関しては—–少なくとも私の直接見聞きした範囲では—–こうした症状は全く見られず、とても健全な会社だと思いました。

だいぶ前のブログ記事で「簡単お気楽4点コメント」というのを紹介しましたが、こういうこととはほぼ無縁の企業の例として、今回の記事を読んで頂ければと思います。

残念ながら「うちの会社のトップはB社と違って『Experienced Commentators』が多いな。。。」と思う方もおられると思います。その場合には、少なくとも自分の今の立場では、部下からそういう上司と見られることのないように自分を律し、今後昇進して行ってもその気持ちを忘れないようにしましょう。そしてできれば、現状のトップ層のありようを「腕まくり型」にするために、具体的にどんなアクションを自分達が取れるか、”It’s up to us!”で検討に取り組む仲間を集めて、行動を起こしていただきたいと願っています。